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2007年12月5日

 東京・霞が関の「埋蔵金伝説」が、耳目を集めている。徳川家康が絡む話ではない

国の財布には、一般会計とは別に特別会計がある。道路整備や為替介入など、特定の目的のための財布で、賢い亭主や女房のへそくりみたいなもの。消費税を上げるくらいなら、この財布を吐き出せ、というのが埋蔵金話である

このへそくりは、評判が悪い。母屋(一般会計)は火の車で、おかゆをすすっているのに、離れ(特別会計)ではすき焼きを食べている、と皮肉った人もいる。無駄遣いの温床を「埋蔵金」と見立てて世の注意を引こうというのは、なかなかの知恵者であろう

埋蔵金伝説なら、北陸にもある。前田利家が蓄えた富が金沢近郊に眠るとか、佐々成政の御用金が立山に隠されているとか。胸躍る話だが、謎に満ちた伝説が一獲千金の冒険者たちを裏切り続けてきたのも事実である

霞が関の埋蔵金は、優秀な官僚が知恵を集めた代物である。金の出し入れの仕組みが複雑で、国会の監視は行き届かない。四十兆とも五十兆円ともいうお宝が手に入るのか、それとも落胆に終わるのか。予算編成が本格化する折、見ものではある。


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