新日本石油など石油元売り大手が1日、灯油やガソリンなど石油製品の卸価格を一斉に引き上げたのを受け、東京都内のガソリンスタンド(GS)では1リットルあたりのレギュラーガソリンが156円、灯油が同100円の大台に乗るなど、大幅な値上げに踏み切るところが相次いでいる。冬本番を迎えて灯油の需要も本格化する中で、原油相場の高騰が家計の重い負担となりそうだ。
新日石は1日から卸価格を平均6円70銭値上げしたほか、ジャパンエナジー、昭和シェル石油も7円値上げした。東京都豊島区のGSでは、レギュラーガソリンの小売価格を1リットルあたり6円値上げし、156円とした。男性店長(26)は「年末の繁忙期で人件費などのコスト削減も難しい。値上げしても利益水準は今まで以上に厳しくなっている」と打ち明ける。
また、目黒区内のGSでは灯油を11月初旬に比べ1リットルあたり10円値上げし、1斗缶(18リットル)が1800円と高値をつけた。都内の灯油価格は平成16年に900円台だったが、3年で約2倍に上昇した。
こうした燃料の高騰は、北海道や日本海側などの寒冷地では一層深刻だ。北海道釧路市の男性(60)は「どれだけ灯油代が増えるのか不安なので、今年からまきストーブを使い始めた」と話す。また、北海道足寄町では、間伐材などを圧縮した「木質ペレット」を燃料とするボイラーを庁舎に導入するなど、自衛策を講じる自治体も増えている。
石油情報センターでは、消費者と元売り会社などが意見交換する「灯油懇談会」を全国で開いているが、「消費者から価格面の安定を求める要望は少なくない」という。また、石油元売り大手も「原油調達コストが上がる中で、価格の値下げは困難。値上げが急ピッチで進んでおり、需要が減るのもしかたない」と厳しい表情をみせている。
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