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薬害肝炎訴訟:国が一括補償金提案 追加提訴者は限定的

 大阪高裁で和解協議が進んでいる薬害C型肝炎訴訟で、被告の国側が高裁に、11月の和解勧告までに提訴した原告171人に一括して補償金を払う形で和解を提案していることが分かった。今後も含めた追加提訴者については、国と製薬会社の法的責任の認定が最も限定的だった3月の東京地裁判決に沿って、一定時期に感染した人のみの救済を想定している。原告側は薬害被害者全員の救済を強く求めており、高裁が国側の主張に近い和解案を示した場合、拒否する構えだ。

 同訴訟は判決の出た5地裁で責任認定の時期が異なり、東京地裁は血液製剤フィブリノゲンについて国が87年4月~88年6月、製薬会社が85年8月~88年6月、第9因子製剤(クリスマシン)については製薬会社が84年1月以降の賠償責任を負うとした。

 和解に当たり、国側は時期を問わず、法的責任を明確にすることは受け入れられないとしている。原告一人ずつではなく全体へ補償金を払う解決方法は、薬害訴訟では異例だが、国の責任があいまいになり、原告側が全員に分配すれば「全員救済」の名目も立つ。

 ただし、この枠組みを薬害被害者全体に広げれば際限がなくなるとして、和解勧告までに提訴した原告以外には厳しい「線引き」を提示している。この場合、11月末に追加提訴した30人も、製薬会社と厚労省が対応を放置していた418人の感染者リストの該当者も、一部しか救済されない。

 一方、原告側は(1)法的責任を認めたうえでの謝罪(2)被害者全員の救済(3)定期協議の場の設置--を国に求める姿勢で一貫しており、和解協議は平行線をたどっている。福田康夫首相は政府の一定の責任を認めて舛添要一厚労相に訴訟の早期解決を指示しており、政治主導の解決を探る動きも活発化しそうだ。

毎日新聞 2007年12月4日 15時00分

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