文部科学省の調査で、道内の公立小中高校が認知したいじめ件数は、道教委が昨年に全国で初めて全児童・生徒を対象に実施した独自調査よりも1500件以上多い7785件に達した。【千々部一好】
小中高別の内訳は▽小学校4099件(前年度127件)▽中学校2809件(同472件)▽高校825件(同153件)▽特別支援学校52件(同8件)。在籍数比率では中学校の1・85%が最も高く、最低は高校の0・68%だった。このうち、いじめを解決できた件数の割合は▽小学校83・9%▽中学校79・9%▽高校75・5%▽特別支援学校67・3%。いじめ発見のきっかけのトップは、小学校が「担任が発見」28・4%▽中学校が「生徒へのアンケート調査」25・4%▽高校が「本人からの訴え」25・6%--で、小中高ともこの三つが大半を占めた。
道教委の独自調査は滝川市の小6女児のいじめ自殺(05年度)を機に、文科省調査の3カ月前の昨年12月に実施。全児童・生徒約46万人のうち、2万303人が「今もいじめられている」と答えた。このうち学校側は既に3371件を把握しており、追跡調査でさらに2073件が判明。札幌市教委の調査分の770件を加え、6214件に達した。
これに対し、今回の文科省調査では、さらに1571件増えた。理由について、道教委は、独自調査後の3カ月間に新たないじめが発生し、文科省調査に含まれた可能性があるとみている。また、今回の調査では前年度調査に対して全国平均で約6倍増えたが、道内は約10倍だった。
調査を受け、道教委学校安全・健康課の杉本昭則参事は「いじめはどこでも起きることと受け止め、(学校現場が)早期に見つけ適切な対応をしたかどうかが評価になるようにしていきたい」と話している。
◇須田康之・道教育大旭川校教授(教育社会学専攻)の話
今回の文科省調査は、児童・生徒の立場でいじめられた子の気持ちをできるだけすくったもので、より実態を反映していると思う。いじめ発見のきっかけは、「担任が発見」などのほか、「保護者からの訴え」も多い。問題を察知した時、学校が家庭の協力を得ながら、迅速かつ適切に対処することが必要だろう。
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■06年度に起きたいじめ自殺■
月日 学校の所在地 学年 年齢 性別 氏名
8月17日 愛媛県今治市 中1 12歳 男 堀本弘士さん
25日 名古屋市千種区 高1 17歳 女 ----
10月11日 福岡県筑前町 中2 13歳 男 森啓祐さん
23日 岐阜県瑞浪市 中2 14歳 女 ----
11月12日 埼玉県本庄市 中3 14歳 男 ----
12日 大阪府富田林市 中1 12歳 女 ----
※文科省は件数のみを公表。毎日新聞が独自取材し補足した。氏名は遺族が公表した場合を掲載
毎日新聞 2007年11月16日 北海道朝刊