◇冷やかし・からかい最多
06年度の県内公立学校のいじめが前年度(98件)の約12倍の1229件に上ったことが、文部科学省の調査で分かった。いじめの定義を見直したことが要因とみられる。同省は今回から国私立学校にも対象を拡大した。それらを含めると、いじめは1303件で、1000人あたりの認知件数は10・4と全国平均の8・7を上回った。
公立学校のいじめの内訳は、小学校586件(前年度44件)▽中学校471件(同40件)▽高校165件(同14件)▽特殊教育学校7件(同0件)。いじめの形態で最も多いのは「冷やかし・からかい」で、小学校394件▽中学校334件▽高校94件▽特殊教育学校3件。
今回はいじめの定義が変わり、児童・生徒が「いじめ」と訴えながらも学校側がいじめと認知しなかったケースも含まれたとみられる。県教委義務教育課は、いじめの認知件数増加について、「昨年来、学校側がいじめへの意識を高め、児童らの訴えを重視した結果」としている。
一方、秋田看護福祉大の成田猛教授(臨床心理学)は「学校カウンセラーの話などによれば、(いじめの件数は)もっと多い」と指摘。「いじめる側には家族の愛情の欠如など多様な要因が考えられる。学校は家族と協力し、いじめる原因を探り、対応しなければ根絶できない」としている。【馬場直子】
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■ことば
◇いじめの定義
05年度調査までの定義では、一方的▽継続的▽深刻--の3要件があり、これらを満たさなければ、いじめと判断されないケースがあった。だが06年度調査からは、昨年からのいじめ自殺問題を受け、定義を「一定の人間関係のある者から、心理・物理的な攻撃を受け、精神的苦痛を感じているもの」に広げた。
毎日新聞 2007年11月17日