文部科学省が公表した06年度のいじめ実態調査で、県内の認知件数は1万1205件と全国で最も多かった。公立小・中学校でのいじめ解消率は90%を超え、全国平均を上回ったものの、県教委は事態を重視し、有識者や学校関係者で作る「いじめ対策検討委員会」を今月中に設置して、改めて対策を練る。
認知件数の内訳は、公立小7122件▽公立中2416件▽県立高校1580件--など。05年度の発覚件数は県全体で90件しかなく、一気に124倍になった。1000人当たりの件数も50・3件と、全国で唯一50件を超えた。一方、いじめ解消率は公立小98・7%(全国平均84・5%)▽公立中94・2%(同78・1%)▽県立高校85%(同77・9%)だった。
件数が激増した背景には、文科省がいじめをより広くとらえ「一定の人間関係のある者から心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じている」などに変更したことがある。
「自殺予告」を受けて県教委が昨年11月、全小中高校生を対象に実施した無記名アンケートで、約3万人が「いじめを受けた」と回答した。先生が児童生徒と面談を繰り返して精査して今回の数字になった。
県教委は「教師が一人一人の子どもに向き合い、早期発見に取り組んだ。実態をありのままに示した数字だ。解消率は、できるだけ早く問題を解決しようと努力した結果だ」と話している。
県教委は今年2月以降、24時間電話相談を始め、「いじめ対応手引」を作成して全教員に配布した。義務教育課は「依然としていじめはなくなっていない」と話し、検討委員会でよりきめ細かな対策を探る。【笠井光俊】
毎日新聞 2007年11月19日