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睡眠リズムが行動に影響 鈴木みゆきさん2005年09月29日 聖徳大短期大学部助教授(50)=保育学 抱っこをしても無表情な幼稚園や保育園児。すぐパニックになったり、隣の子を突き倒したり――。80年代ごろから、各地の幼稚園や保育園で、親子向けの手遊びやリズム遊びなどを創作していて、子供たちの反応がおかしいと気づいた。 保育者に聞くと、寝るのが夜遅かったり、朝食を食べていなかったりする子が多かった。「睡眠覚醒リズムが昼間の子供の行動に影響しているのではないか」と考えた。 瀬川昌也・瀬川小児神経学クリニック院長らと02年、睡眠覚醒リズムが脳の発達に与える影響を調べた。東京都内近郊の5歳児226人を対象に、2週間分の睡眠記録をとってもらい、保育者から子供の生活を聞き取った。子供に三角形をクレヨンなどで紙に模写させるテストも行った。 その結果、日によって寝起きする時間のばらつきが1・5時間以上あった子供34人のうち、三角形の角がない丸を描いたり、斜線が垂直線になっていたりするなど、うまく写せない子供が約半分の15人いた。 ばらつきが1・5時間未満の規則的な生活をしていた子供は188人で、うまく写せない子は23人だった。睡眠覚醒リズムが不規則な子と模写ができない子の関連が示唆された。 さらに、リズムが不規則な子供は「人の気持ちに気づかない」「活動に持続力がない」など保育者が「気になる」と挙げていた子供たちが多かった。午前5時過ぎに寝る1歳児や、遅く帰宅した父親と午前2時過ぎまでプロレスをしている2歳児もいたという。 こうした睡眠覚醒リズムが不規則になった背景には「夜がなくなった」ことがあるとみている。80年代、テレビゲームが普及し、コンビニが次々と開店した。夜は暗いのが当たり前だった祖父母の時代とは違う。 子どもが寝なくて困ると悩みながら、夜更かしを問題視していない親が多すぎると警鐘を鳴らす。自らも3人の子の母。「子供は黙っていても寝るものではない。『寝かしつけ』というしつけが必要です」 (溝呂木佐季) ●研究の必需品 マイタウン千葉
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