2007年11月22日 21:30 [Edit]
貧乏な社会で子を産むな
id:buyobuyoさんがご立腹のようだが、どちらも怒りの矛先が微妙にずれていてBlue on Blue(同士討ち)状態になっているように見えるので蛇足。
2007-11-21 - 捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!出産育児一時金にこだわっているようだが、そもそも、出産育児一時金は出産しないともらえないわけだが。今回の記事は、「妊婦健診を一度も受けず、生まれそうになってから病院に駆け込む「飛び込み出産」」がテーマで、妊婦健診の時に出産育児一時金は使えないんだけど。いまどきの産婦人科はつけが利くの?
「貧乏人は子を産むな」と言っている人々は、一つ重大なことを忘れている。
子を産むのは確かに親だが、子を育てるのは親だけではないということを。
日本においては、「親は子を産むばかりではなく、育てることに関しても100%権限と責任がある」という社会的空気が強すぎるように思う。少子化の一番の理由は、子供を育てることの意味もコストも変わっているのに、この社会的空気がそのまま取り残されていることにあるのではないか。
はっきり言って、この国は子供の面倒はあまり見ない。これがまだ欧州諸国との比較だけなら、高福祉の代償として高税率があるのだから当然という言い方も出来ようが、一人っ子政策を導入した、いわば建前上は日本より遥かに子供に対して厳しく、社会資本も貧弱ならば親の収入も低い中国と比較してすらそうなのだ。
我々一家は、かつて中国で暮らしていたことがある。まだ次女は生まれていなかったが、長女は当時二歳。外国慣れしている私と違って、妻の方は海外の長期滞在は初めてで、さぞ大変だろうと周囲に思われていたが、実は日本よりもずっと楽だった。食事の時は、店の小姐(シャオジェ)たちが何かと娘をかまってくれるので夫婦で落ち着いて食事はできるわ、保育園は24時間いつでも娘を預かってくれるわで、子供がいても大人の時間を削る必要が実に少なかった。「それは外国人の特権では」というとそうでもなく、私の部下である中国人社員達も、あれやこれやで子供の面倒を社会が見てくれたおかげで、既婚者も独身者も同じように働いていた。それを寂しいというものもいたが、他方で既婚者であることが、特に妻の側の不利にならないという点においては日本とは比較にならないほどの男女同権社会だったように思う。もちろん楽なことばかりでなく、配偶者や子がいるからといって仕事を軽減してもらえないという点においては日本以上に厳しい社会であるのだが。おかげで当時は妻にも仕事を手伝ってもらうことも多く、私の方も楽だった。
日本に戻って来たとたん、この状況は一変する。保育施設は金を出せばないことはないのだが、24時間保育などとても無理。子供を預かってもらう料金が月10万円近くかかっていたこともある。子供にかかる金と手間は格段に増えたのだ。子供が幼稚園に通い出すと、料金こそ下がるが今度は時間の方が増える。日本に戻って来てからすぐに次女が出来たこともあり、今の妻は仕事どころではない。下の娘が来年小学校に上がれば、仕事をするだけの時間も出来るのだろうが、それは三年間隔で子供が二人いたら、仕事の現場から九年間も離れる羽目になることを意味する。仕事が好きな女性にはそれは辛いだろう。
勝間和代さんあたりをスゴイと持ち上げるのもいいが、アレを普通と思ってもらっては世の女性1万人のうち9999人、いやもしかして100万人のうちの99万9999人は困るだろう。妻と同年齢の彼女はすごいと思うが、だからといって私が妻に「彼女を見習え」といったらこれはもう立派にパワハラ認定されるのではないか。
生まれた後ですら、日本においてはこのように親の負担は大きい。夫婦のどちらかは仕事をかなりの程度諦めないとやっていけない。その上子供を生むも堕ろすも自己責任で自己負担。出産育児一時金が出るのは、無事に生まれてからやっとである。我が家の場合、両方とも安産だったこともあって出産費用トータルで見たら「黒字」ではあったが、我が家のケースが平均よりかなり幸運だったのは、幼稚園で他の母達のエピソードを聞けばわかる。出産にまつわる医療費に保険が利かないのは「妊娠は病気ではない」からだそうだが、流産や死産の場合はどうなるのだろう。
2007-11-20 - 1/2 FULLもし健康保険料を払えないほど生活に困窮しているのであれば,子供を作る資格などない。
健康保険料程度で済むなら話は簡単だが、しかしこの理屈だと、現在の生活に困窮していない程度では子供を作る資格など得られないことになる。早い話、それを子供が成人するまで維持することを証明できなければ子供を作る資格はないことになる。要するに、子供が成人するまでは事故で死ぬこともままならないわけだ。
子供のためにベストを尽くす。これは親としては当然のことだ。しかしそのベストとは子を得ることで個を捨てて滅私することなのだろうか。
無責任な大人が多すぎるよ。
そういうあなたは、自らの誕生に責任を持てるのか?その意味において、我々は一人残らず無責任の結果なのである。生まれて来たことそのものに、我々は誰一人として責任を持っていないしまた持ちようがない。我々が責任を持っているのは、我々がいる社会に対してである。そしてその社会が子供に対する責任を全て親に押し付けるというのであれば、親として社会に対して責任を持つ理由がどこにあるのだ。
「無責任な大人が多すぎる」、同意である。しかしそれは自らの手に余る子供を生むことではない。そういう子供を親に押し付けることを当然とする社会を放置していることこそ、本当の無責任なのだ。
それが違うという者は、是非自分は自己責任で生まれて来たということを証明して欲しい。
Dan the Father of Two
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でも子供を育てるのは社会がほとんど手伝ってくれない。
子供二人を大学出して自宅も郊外の一軒家で、とか考えると20年で余裕資金を7千万ぐらい稼げるあてがないとダメっすね。無理無理。
そら少子化も加速しますよ。「無責任」にならない事を貫くには子供作れませんもの。わたしは独りで静かに滅びよっと。
死産の場合と流産でも妊娠85日以上ならば出産育児一時金は出ます。場合によりますが、中絶の場合でも出ることがあります。
今の社会のあり方には問題がありますね。
されているということでしょう。
おそらく、弾さんのお子さんを預かった中国人の家庭では、そのお子さんを自分の子供と
同様に叱ったり躾けたりしたでしょうし、また、レストランであやしている最中に何か事故っ
たりしても、たぶん“没法子”で済まされたのではないでしょうか?
いまの日本では、預かった知り合いの子供はおろか、公共の場ではしゃいでいる子供す
ら叱る大人は少ないですし、それどころか、叱りでもすれば、その親に逆ギレされる始末
です。むろん、預かった子供が事故ってケガでもしようものなら、ヘタをすれば裁判沙汰に
なりかねません。
結局のところ、国や社会が子育てに消極的なのは、その過程で生ずるであろう様々な事
柄についての“責任”の問題がネックになっているからではないでしょうか?
たまには正論にいいますね。まさにその通りで、現段階で社会に構造的欠陥があるからこれを直さずに個人どうこうという話はできません。
社会というものが、その中で生き、またその社会を構成している個々人とは別のところに
あるものだとでもいうのでしょうか?
率直に言えば、日ごろ子育ての負担に苛んでいる親御さん方が、一方では、自分の子供
に何かあれば、目を三角にして国や社会の責任を糾してやまないというような、自縄自
縛の行動を取られている(であろう)あたりが、欠陥の一因であるように思えます。
子育てをしながら仕事をするには同居が1番
しかも自分の両親なのでラクです。
夫婦で正社員だと保育料も安くありません。
社会に問題は色々あるとは思いますが
子育てをしながら親も成長するって
本当だなぁ〜
って実感できるこのごろです。
無責任な親
ある意味では私も…
今日、貧乏人の子供はロクな公教育を受けられませんから
将来性もないですしね。
mobanama)も自分を見つめなおすところから始めた方がいいと思
います。
中国は安い人件費と急速な経済成長によるパイの拡大が、24時間保育園や育児に親切な社会を生み出しているわけで、20年以内に到来する中国の高齢化突入とそれに伴う経済成長停滞が起これば、そんな余裕はなくなる。日本以上の速度で高齢化社会に突入するわけだから、日本以上の阿鼻叫喚は間違いない。
この部分がとても同感です。
『責任』=『個人に押し付けること』
にしてしまったんだろう。
やっぱり、昔の方が良かった、とか
共同体が崩壊した、とか色々言われてたけど、
やっぱり他人全般に対する『無関心主義』が蔓延してるんだと思う。
都会ではもちろん、田舎でもその傾向があるのが辛いところだな。
・・・・というか、
社会が(他人に対する)責任を放棄したから、
個人個人に重いツケが
ずっしりとのしかかってるんだと思う。
わがままな親が目立つようになったのは、上※に在るように
子育てが個人化(つーか私物化)されたのが
大きいと思う。
子供は自分のものであって
他人は口を出すなって考えなんだろうね。
あと、
親一人二人がいきなり負担を
負ってしまうのも原因かなと思う。
雇用体系も変わってるんだから、
母親一人に押し付けずに、
もっと会社やら地域の引退したお年寄りとか、
社会全体が
支えていく意志を持たなければかなり厳しいと思う。
・・・一体いつから、子供持つ人間が不利になる社会になったんだろうと思う。
爺ちゃん婆ちゃんでも、最初のうちは
もっと関与した方がいいのかも。
共働きをさせて労働力を増やすことで生産性を上げようとしていたそうです。
中国も共産圏だったので、その残滓が今でも残っているということではないでしょうか。
子供を注意すると逆ギレしてみたり、
下手に面倒をみると訴訟沙汰になったり、
せっせと個人主義を推進し、村社会的な共同体意識を破壊してきたのが戦後からいまに至る流れ。
その恩恵を受益してきたのに、都合が悪くなると、村社会的共同体意識の恩恵も受益させろ。
と、いうのは、責任を持てないので、きちんと家庭も持たず子供も作っていない人間からみると、手前勝手な話に聞こえます。
いまの個人主義社会の恩恵を受けている以上は受益者費用は払うべきではないでしょうか?
ないわけです。
下手すればわが子に殺されるかもしれないし。
肝心なのは 収入です 我が国は 終身雇用制度も 崩壊しつつ
アルバイトは 若者だけではないのです。
子供が大きくなればなるほど お金も必要になってきます。
電車の中や 公共の場を見てわかるとおり 幼い子供に 大人げない態度や
言葉を 浴びせるのは 決まって 子供を巣立てさせた 大人です。
少なくても 国は高校は 義務教育にするべきだし、
チャレンジなんていう言葉で 病んでいる 若者を救をすくったつもりだろうが 氷山の一角であるし、それも自らの意思が強い子、
近隣国であれば 韓国の徴兵制度を見習うべきだと思います。
でも、実際には踏み倒すケースが少なくないようです。
社会が親に責任を押しつけるから、無責任になる親がいるのか、親が無責任だから社会が責任を押しつけるのか。
ニワトリが先か卵が先か。
子供は社会の宝というのは今は昔。
その一方である意味地域のサポートもあったともいえますね。
…現在はどっちもないわけですが。
正直、こと子供を産み育てることに関する責任追及が
あまりにも過酷なんじゃないかという気がします。
そりゃ誰も産みたくなくなりますね。
個人主義というより無関心主義が増えてきたような。
山中教授の研究でも利用してクローン由来で子供でも作ればぁ?
税金で国が雇うなり何なりしろや、なんて意見出てくるのも
そんな先の話ではないでしょうな。
議論する気も無いですが、現実として、比較的、貧乏な人が多い下町では、タダで子供の面倒をご近所さんが見てくれます。
今も親は無くとも子は育ちます。
言うほどの子育ての心配は要りません。
育児や子育ての環境が悪いと嘆いている方は、引越しすればいいだけの話です。
結局メリットとデメリットで±0になってますよね。
仕事が好きな人がいれば、嫌いな人もいる。
前者にとっては確かにその例における中国の体制は好ましいものですが、
後者にとってはそうではない。
必ずしもどちらが良いとは言い切れないわけです。
むしろ、後者の方が多いような気もします。
例えば働かなくても十分に暮らしていける環境が手に入れば、
多くの人が仕事を辞めてしまうとは思いませんか?
思わないのであれば、現在の社会環境を把握できていません。
数年でそこまで経済的な格差が生まれたとは思えません。
払いたくても払えないと言うのであれば社会でバックアップする必要があると思いますが、ただ責任を放棄してしまってるケースが増えてるだけのような気がします。
「貧乏人は生むな」と言う人の多くは優生学的視点ではなく、このような思いから過剰に反応してるだけではないでしょうか。