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2007年12月4日

 落語に「ぜんざい公社」というのがある。庶民が役所の窓口でほんろうされる奇想天外な話だが、昨今の建築確認騒ぎとどこか似ている

甘党の熊さん、ぜんざいを食べようと役所へ行く。窓口で書類に名前を書くと、食べたくなった動機まで聞かれる。書類を持って次の窓口へ。健康状態を質問されて診断後、別の階へ。餅を焼くなら消防法の手続きが要ると言われる始末で、食欲をなくしてしまう

金融コンサルタントの木村剛さんが本紙「北風抄」で「コンプライアンス不況」と書いている。経済実態にあわない不合理な法制度を導入して経済活動を委縮させてしまうことを指し、一例に建築基準法「改悪」をあげている

耐震偽装事件後、国交省はリスクを負いたくないため現場に負担とコストを課した。複雑な手続きが増え、従来の人員では処理できず着工ゴーサインは遅れるばかり。建築不況が到来し、消費者の建築意欲も冷める

さて、落語の熊さん。やっと食べたぜんざいが甘くない。抗議すると「甘い汁は役所がいただきました」と言われておしまい。落語のオチはいいが、業界一同、お後は全然よろしくない?


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