第十三回気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が、三日から十四日までインドネシア・バリ島で開かれる。京都議定書を引き継ぐ二〇一三年以降の世界の温室効果ガス削減ルール「ポスト京都」の枠組みづくりが焦点になる。
十一月に枠組み条約事務局が公表したデータによれば、〇五年の主要国の温室効果ガス排出量は百八十億トンを超え一九九一年以降で最高となった。一方、世界の気象学者らでつくる国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は今年、四次にわたる報告を行い、温暖化対策の加速を訴えた。各国政府は危機意識を高め、今回の会議でポスト京都へ本格的に踏み出さなければならない。
IPCCは温暖化の実態、影響、対策に分けて報告し、十一月には統合報告書も出した。温暖化を人為的なものと認め、今世紀末の気温上昇を一九九〇年比で最大六・四度と推計した。影響を抑えるには今後二十年―三十年間の努力が鍵を握るとし、放置した場合の損失は対策のコストを上回るとも指摘した。
世界の関係科学者が、統一見解として温暖化の危機を認め、対策を訴えた意味は大きい。IPCCは同じく温暖化対策を訴えるアル・ゴア前米副大統領とともに今年のノーベル平和賞に輝いた。
IPCCが投げたボールを各国政府がどう受け止めるのか、今回の会議で問われることになる。新たな枠組みを構築していくための行程表(バリ・ロードマップ)をまとめることが、今回の会議の主要議題である。交渉の期限や交渉を進める場の設定などを中心に話し合うことになろう。各国の国内手続きなどを考えれば、交渉は二〇〇九年までに終える必要がある。
今後の温暖化対策の進め方に関しては各国の思惑が交錯する。京都議定書から離脱している最大排出国の米国は独自に主要排出国の会合を主催するなど、この先の主導権確保を狙う動きが見える。日本は五〇年に世界の排出量を半減する目標を掲げ、来年の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で各国の賛同を得る考えだ。欧州連合(EU)は現在の議定書の排出削減目標強化を唱える。途上国は経済発展が制約されるのを避けたいところだろう。
総論では温暖化対策に合意していても、各論では各国の利害がぶつかり合う。会議の成否は予断を許さない。しかし、今年のIPCCの報告は対策推進への科学界の最後通告といえる。出席する各国政府の代表はその重みを肝に銘じ、着実な成果を挙げるべく努力してもらいたい。
延べ床面積が一万平方メートルを超すショッピングセンターなど大型商業施設の郊外への立地を原則的に禁止する改正都市計画法が全面施行された。
これにより、大型店進出に伴う交通渋滞や騒音対策を企業に求める大規模小売店舗立地法、都市中心部に商業施設などの集積を促す中心市街地活性化法と合わせ「まちづくり三法」見直しが完成した。市街地ににぎわいを取り戻すための法律面の道具立てが整ったことになる。
中心部の沈滞は多くの都市にとって長年の悩みだ。国は一九七四年施行の旧大規模小売店舗法で中心市街地への大型店出店を規制し、商店街の保護を図った。一方、人口の増加や車社会の進展などで郊外が発展していった。
九八年以後まちづくり三法が整備されたものの、中心部の衰退に歯止めはかからず、街中より郊外に大型店の出店が増えた。このため都市機能の中心部集約を目指し、三法の見直しが行われた。
しかし、郊外への大型店の出店規制が、中心部のにぎわい再生に直結するわけではない。既に郊外型大型店に客を奪われている所では状況は変わらず、中心部で大型店と競合している場合もある。規制にかからない中型店が郊外に出てくることもあろう。
まちづくり三法の見直しは中心市街地再生への条件整備の一部でしかない。規制を契機に、自治体やそこに住む住民たちが、どうまちづくりを進めるかが問題になる。
再び人波を呼び戻すには、住宅や学校、病院などの整備と、うまく組み合わせる必要がある。加えて、商店街自体の魅力を高めなければならない。各経営者の努力や店同士の協力で「シャッター通り」を解消したいものだ。
(2007年12月3日掲載)