絵文字業界人インタビュー
●「HotWired Japan」編集部、川崎さんに直撃!の巻
メールマガジンをより楽しく読んでもらうために、
努力することは大事だと思う。それは文章を推敲し
て、より適切な文章に仕上げることであり、空白や
記号をうまく使って、文章を区切ることだと思う。
そして、それを突き詰めていくと、レイアウトデザ
インというカテゴリができていくのではないか。
現状、メールマガジンのデザインは、それ専門の人
が作っているわけじゃないことが多いけれど、すば
らしいデザインのメールマガジンはたくさんある。
今日はその中の一つ、HotWired 日本版「HotWired Japan」副編集長川崎
さんにインタビューをお願いしました。 Net上のニュースや、おすすめサ
イト紹介・個性的なライター陣によるレビューが楽しく、デザインも素敵
な Webサイトと同様、すっきりとしたメールマガジンを作る川崎さんに、
さぁ、突撃!
京太:こんにちは!川崎さん。インタビューするのを楽しみにしていま
した。今日は個人的な意見をぜひお聞かせくださいね。
川崎:了解です。こちらこそ、よろしく。
京太:まず最初に、川崎さんが関わっているメールマガジンのご紹介を
お願いします。
川崎:私はメールマガジンとは言えませんが、WebZine「HotWired Japan」
の更新情報をまとめた「This Week in HotWired Japan」という、
ニューズレターを制作しています。基本的には「HotWired Japan」
の新しい記事の内容を簡単に紹介する内容です。「今週の○○○」
というコーナーと、編集後記的な「三丁目通信」というコラムは
「HotWired Japan」本体では読めないオリジナル記事です。
京太:1/26号の『今週の「きっとくる」』というネーミングに、映画「リ
ング」を見たばかりの私はひとりでうけてました(^^) Webの方も、
今回の「特集:メールマガジンの出現」はとても興味深かったで
す。それに「読者が選ぶ「私のイチオシ愛読誌」には、なんとこ
の「週刊kyota.com」も載っていたんですよ。(読者の杉本さま、
ありがと〜)
「This Week in HotWired Japan」も、毎回楽しみにしています。
更新情報といっても、それだけでちゃんと雑誌として成り立つよ
うな読んで楽しめる内容ですし、デザインが秀逸です。サイトへ
飛ぶのも、クリッカブルURL機能を利用してここから行ってます。
これを作る川崎さんが、デザイン面で気に入っているメールマガ
ジンをご紹介いただけますか?
川崎:うーん。内容が好きなものはいろいろありますが、デザインとな
ると難しいですね。それでもあえて言えば、ですが……。まず手
前味噌で「WIRED NEWS」。それから「ちぇげらう」や
「週刊セクシーマガジン」などです。
実はこれらには共通項があって、それは、誌面の左側にマージン
を取っているということです。通常、メールマガジンは 1桁目か
ら文字が入っています。これはまあ、電子メールがベースなので、
電子メールのふつうの作法がそのまま継承されているわけですが、
「よみもの」と考えると、左右に余白があった方がはるかに誌面的
に綺麗で読みやすく感じます。同じテキストの量であっても、左
右に余白があった方がすっきりと文字量が少なく感じるような気
がするんですよ。文字や記号を詰め込むのではなく、余白でデザ
インするって感じですか。
京太:さすがに週刊セクシーマガジンは読んでいませんでした(^^; WIRED
NEWSはポンポンと配置された「■」マークが効いていますよね。
ずらっと並んでいるのに、このリズム感が圧迫を軽減させている
ように思えます。左余白も、大胆に使っていらっしゃいますねー。
すっきり。実はこれ、編集は面倒なのですよね。手間暇を惜しま
ない姿勢、さすがだなぁと思います。また、タイトルロゴもデザ
イン上、重要な要素ですが、お好きなタイトルロゴを教えていた
だけますか?
川崎:「ZDNet Wire」や「WEEKLY SOHO」のタイトルロゴはすっきりして
いて綺麗だと思います。
京太:私、どちらも長く購読してますー。特にZDNet Wireのタイトルは、
昨年あのデザインになったとき、ああ、やられたーと思いました。
点の強弱で作られた、美しい線を使っているんですよね。同時期
に、あの線がいろんなメールマガジンではやったりして(笑)
川崎さんは、メールマガジンの広告やデザインに、絵文字を使う
ことを、どう思いますか?
川崎:絵文字を使うのはテキストオンリーのメディアとしては、当然の
手法と思います。ただ、使いすぎると無暗にごちゃごちゃしてし
まうので、必要なところに最小限に使うのが効果的なように思い
ます。っていう、退屈な意見でした。
京太:いえいえ、退屈なんてそんな。もっと聞かせてください。メール
マガジンをデザインする時に、特に気をつけていることってあり
ますか?
川崎:やはり、先ほどから言っている余白をうまく使うことと、やたら
に妙な記号を使わないことでしょうか。
たとえば、見出しのアタマにつける記号などでも、ひとつの誌面
に、●や▼や■や◆や★や♂や♀や*や◎や※や♪や†や……が
混在しているようなメールマガジンをみかけますが、「■と□だ
けにする」とかルールを決めて、できるだけ少ない記号(それも
テイストが近いもの)だけで作った方がきっと綺麗になると思い
ます。
……というのは、自分たちのものを棚に上げて言ってるんですが。
いま、これを書きながら反省したりしてます(笑)
京太:目次につけた記号と、本文の題名につける記号を合わせるのも、
すっきりと見せるコツですよね。でも、新しい雰囲気のデザイン
を目指していると、つい記号を多用したくなりませんか?私も反
省しなくては(^^; 私は、川崎さんのデザイン、とても好きなの
ですが、デザインのイメージを膨らませるために、参考にされて
いる資料サイトがあるんでしょうか?また、私のような絵文字師
を他にご存じでしたら、ご紹介くださいませんか?
川崎:すいません、資料サイトというのはとくにないです。絵文字師の
方も存じ上げないです。ごめんなさい。
以前、アスキーアートがもっと盛んだった頃には、alt.*系のニュー
ズグループとかで、すごいのをよく見かけました。テキスト端末
の上で実行するアスキーアートのアニメとかもありましたよね。
ScarecrowがFTP/Webサイトを止めて以降はアスキーアートはイマ
イチになりましたが、その分日本の 2バイト文字で独自の進化を
しているのかも。だからそっちに期待します。
ちなみに「HotWired Japan」でもアスキーアートを使ったデザイ
ンを、やったことがあります。
// ◇HotWired Japan 「386ライダー」特集
// URL: http://www.hotwired.co.jp/matrix/9804/
この時は、GIFをアスキーアートにコンバートするツールや、ア
スキーアートのタイポを作ってくれるツールを使いました。
京太:これ、すごいです!メールマガジン上では大きくなってしまいす
ぎるでしょうが、写真をアスキーアートにしたりできるんですね。
「286マシンを快適電子メール専用機にする!」のコーナーの、
原チャリ絵文字がかわいい!こういうのも、アリなんだ……。私
の「絵文字師の仕事部屋」サイトもこんな風にできたらいいなぁ。
貴重な資料を、ありがとうございます。
川崎:アスキーアート〜絵文字は、ネットという土地とネットワーカー
という民族が生んだ文化風俗であり、フォークアートだと思いま
す。その誇りを持って伝承&進化させていってくださいね!
……大げさでした。
あ、あと、電子メールソフトにプロポーショナル・フォントを当
てるなどという、世が世なら打ち首ものの蛮行をはたらく無鉄砲
なヤングが増えているのは嘆かわしい限りです。ちゅうか、メー
ルマガジン的に非常に困ります。そりゃもちろんユーザの自由な
んですが、少なくともデフォルトは等幅ということを「電子メー
ル・リテラシー」として広めて欲しいです。でないと、Osakaや、
MS Pゴシックで読んでることが原因なのに「デザインが崩れてま
す」と文句を言う人がますます増えるでしょう。 Macの場合は、
日本語の綺麗な等幅フォントがないことも原因と思いますが…。
京太:先日私もこのメールマガジンでアンケートをとったんですよ。そ
うしたら、和文FONTの等幅系で英文メールが読みづらい、 Win版
ユードラ4.0では、等幅に直せないとか、Outlook Express 4.7で
等幅フォントにしていても、メール本分の各行の先頭に 1バイト
スペースが一文字ある場合は勝手に詰められてしまう……なんて、
絵文字師泣かせの現象も報告がありました。限られた制約の中で
いかに多くの人に絵文字を楽しんでもらうか。メーラーの仕様も
この辺配慮しながらバージョンアップしてほしいですね。
最後に川崎さんへ、私の作った広告をプレゼントしてお開きにし
ましょう!今日は本当にありがとうございました!
次回の絵文字業界人インタビューをお楽しみに!
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