国際色豊かな出土品から「海の正倉院」と呼ばれ、世界遺産登録を目指している福岡県宗像市の孤島・沖ノ島とその関連遺産群について、日本、中国、韓国の学者による初のシンポジウムが2日、同県太宰府市の九州国立博物館であり、東アジア史における沖ノ島の位置などを論じ合った。
玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、航海の安全などを願い、古代日本の国家的祭祀(さいし)が行われた島。現在も「神宿る島」として信仰され、宗像、福津両市には沖ノ島祭祀にかかわった胸形(むなかた)(宗像)一族の墓とされる古墳群も残る。
シンポは、同県教委と両市の主催で約300人が出席。中国社会科学院考古研究所の王仲殊教授や、沖ノ島の発掘調査に当たった小田富士雄・福岡大学名誉教授ら6人が講演した。
この中で韓国の朴廣春(パクカンチュン)・東亜大学校博物館長は、沖ノ島の出土品に古代日本と対立した新羅の最高級工芸品があることから、「磐井の乱」との関連に着目。「新羅から磐井に使臣が派遣され、沖ノ島で磐井の側近とともに祭祀を行った可能性がある」と指摘した。
パネルディスカッションでは、西谷正・九州大学名誉教授が司会を務めて意見交換。出土品のカットグラスが沖ノ島に至るルートなどを考えた。
「沖ノ島と関連遺産群」は1月、国内候補地入りの選定に漏れ、世界的な価値の検証などを文化庁に求められた。同県教委などは今月24日に東京で同様のシンポジウムを開き25日、同庁へ提案書を再提出する。
=2007/12/03付 西日本新聞朝刊=
玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、航海の安全などを願い、古代日本の国家的祭祀(さいし)が行われた島。現在も「神宿る島」として信仰され、宗像、福津両市には沖ノ島祭祀にかかわった胸形(むなかた)(宗像)一族の墓とされる古墳群も残る。
シンポは、同県教委と両市の主催で約300人が出席。中国社会科学院考古研究所の王仲殊教授や、沖ノ島の発掘調査に当たった小田富士雄・福岡大学名誉教授ら6人が講演した。
この中で韓国の朴廣春(パクカンチュン)・東亜大学校博物館長は、沖ノ島の出土品に古代日本と対立した新羅の最高級工芸品があることから、「磐井の乱」との関連に着目。「新羅から磐井に使臣が派遣され、沖ノ島で磐井の側近とともに祭祀を行った可能性がある」と指摘した。
パネルディスカッションでは、西谷正・九州大学名誉教授が司会を務めて意見交換。出土品のカットグラスが沖ノ島に至るルートなどを考えた。
「沖ノ島と関連遺産群」は1月、国内候補地入りの選定に漏れ、世界的な価値の検証などを文化庁に求められた。同県教委などは今月24日に東京で同様のシンポジウムを開き25日、同庁へ提案書を再提出する。
=2007/12/03付 西日本新聞朝刊=