北京――中国の国営・新華社通信は11月30日、開業2年目を迎える青海チベット鉄道が中国軍部隊を初めてチベット自治区ラサに輸送したと報じた。部隊の規模には触れていないが、人民解放軍当局者の発言として鉄路での兵士輸送は今後、空路、陸路に代わり主要な手段になる、と伝えた。AP通信が報じた。
自治区では中国がチベット族の独立をうかがう動きに神経をとがらせている。11月にはチベット僧侶3人が公安当局に拘束されて住民が反発、公用車を破壊、武装警察と衝突した事件なども伝えられている。
青海チベット鉄道は、チベット文化圏の青海省西寧とチベット自治区ラサの約1956キロを結ぶもので、標高4000メートル以上の区間も通る。高速鉄道を導入したことで、北京─ラサ間の所要時間は2日間に大きく短縮されたという。
同鉄道の開通で内外の観光客が自治区へ押し寄せ地方経済の活性化を促す側面があるものの、チベット独特の文化が侵食され、「中国化」が進むとの懸念も地元で出ている。
新華社によると、自治区と中国の他地域の物流の約75%は同鉄道が担っている。