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文化

大阪中央郵便局建て替え計画 研究者らがシンポ

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大阪の街の“玄関口”に建つ大阪中央郵便局の庁舎=大阪市北区

 日本のモダニズム建築を代表する建物として知られる大阪と東京の中央郵便局庁舎が、郵政民営化に伴って高層ビルに建て替えられる可能性が高まったことを受け、このほど、大阪市内で「緊急シンポジウム 残せるか! 大阪・東京中央郵便局庁舎」(日本建築学会近畿支部など主催)が開かれた。建築、ひいては景観の「公共性」が一つの焦点となり、市民を交え、広く議論する必要性が確認された。(新開真理)

 国内の近代建築の評価や保存に携わる「DOCOMOMO Japan」代表を務める鈴木博之・東京大大学院教授ら五人が出席。足立裕司・神戸大大学院教授がコーディネーターを務めた。参加者は百二十人に上り、関心の高さを示した。

 大阪中央郵便局はJR大阪駅の南西にあり、一九三九年完成。近代建築の代表的建築家・吉田鉄郎の傑作として、細部まで神経が行き届き、抑制された美しさを持つなどと高い評価を得ている。日本建築学会などは大阪・東京両庁舎の保存を要望してきた。

 シンポでは、南一誠・芝浦工業大教授が、建物を高層化する場合と保存する場合の収益を比較。保存の上、(建物上部で利用が認められている)容積率の未利用分を譲渡し、賃貸すれば一定の収益を得られるとの試算を発表。「開発にはリスクが伴う。新会社の株式は当面、政府が100%保有するため、そのリスクは国民が負うことになる」と指摘した。

 南教授は郵政事業の「公共性」にも言及。「何十年も税負担を免除されてきた経緯がある一方、開発の利益を得るのは特定の企業だけ」と述べ、かつての国有財産の活用方法について、丁寧に議論すべきと強調した。

 石田潤一郎・京都工芸繊維大大学院教授は「建築をそのまま残すことだけが『よい保存』なのか」と問題提起。京都市内の近代建築のリニューアルの際に、建て増しして周辺のにぎわいに貢献した事例を紹介し、「別の評価軸もあっていいのでは」と提言した。

 最後に足立教授が「日本では、歴史的建造物を残そうと呼びかける側に論理が求められるが、壊す側の論理も問われるべきではないか」と締めくくった。

(11/3 12:30)

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