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黙殺されたリタリン患者の会見

11月28日13時41分配信 オーマイニュース


 難治性・遷延性うつ病や睡眠障害のナルコレプシー、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療薬として用いられてきた向精神薬「リタリン」について、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の患者会と難治性うつ病の患者会の代表者が11月22日、厚生労働省を訪れ、リタリン治療の継続や、同様の効能を持つ薬剤「コンサータ」の早期承認を要望した。

 患者会は適応症から削除された難治性・遷延性うつ病の治療にリタリンが再び処方できるようにすることやADHD患者へのリタリン処方の承認などを求めた。要請後、厚労省の記者クラブで代表らは記者会見を行い、出席した記者からは多数、質問が発せられた。

 しかし、今回の行動は時事通信が【「リタリンの使用継続を」=患者ら厚労省に要望】との見出しで、ベタ記事で報じたのみで、他の全マスコミからは完全に無視された。署名活動に協力してきた患者の1人は憤る。

 「リタリンの規制を求める家族会が厚労省に陳情した時は全マスコミが取り上げました。中でも毎日新聞は大きく取り上げています。しかし、今回の要請後の記者会見には全マスコミが出席したのに、まったく記事で取り上げない。リタリンを必要としている患者たちが初めて実名で顔を出して、声をあげたのですから、ニュース性はあるはずでず。今回のメディアの黙殺はどれだけリタリンに関する報道が偏向しているかをよく物語っていますよ」

 たしかに、メディアの大半はリタリンを扱う時、違法売買や依存症、乱用問題など負の要素ばかりに焦点をあて、同薬を治療に必要とするADHD患者や難治性・遷延性うつ病患者の声を取り上げるところは一切なかった。11月16日、リタリンの処方が問題視されていた東京クリニックに警視庁が家宅捜索した時にメディアで大々的に取り上げられたのと比べれば、雲泥の差だ。

 大新聞の記者の1人が匿名を条件に実状を話す。

 「リタリン=社会悪、一刻も早く抹殺されるべき忌むべき薬だと皆が一様に思い込んでいます。リタリンを擁護するかのような記事を載せたら、世論の反発をかうと現場は恐れています。厚労省と製薬会社による新たなリタリン規制策にどれだけ多くの問題点があろうとも、それを批判することはできない。とにかく規制はイイコトだと思っています。いわば、魔女狩りのような状況です。リタリンについて冷静に報道できるのは、オーマイニュースぐらいですよ(笑)」

 リタリンに関して客観報道できるのは本誌だけとは何ともお寒い状況である。

 そんな中、リタリンの製造販売元のノバルティスファーマは厳格なリタリンの流通管理策の実施を着々と進めている。

 広報部に取材したところ、同社は12月にリタリンを処方できる医師・医院の基準を提示して、全国の医師・医院に通知した後に、指定医に認定されることを希望する医院・医師からの申請を受け付け、12月のわずか1カ月だけで同社が専門家を集めて設置した第三者委員会が申請のあった医師・医院の適格性を審査する。12月中に基準の通知・申請の受け付け・申請医の審査という作業を一気に行い、1月1日には新たなリタリンの流通管理策を実施するというのだ。

 「慎重」という言葉とは対極にある拙速かつ早急過ぎる対応といえるだろう。やっつけ仕事と批判されても仕方あるまい。

 これまで製薬会社の暴走をとめられなかったうつ病患者だが、粗雑な規制策の実施を中止・撤回させるために、ノバルティスファーマと厚生労働省を相手に首都圏に住む複数の患者が原告となって近日中に訴訟を起こす予定だ。司法の場でリタリン規制の正当性が争われることになる。訴訟を受けても製薬会社は予定通り規制を実施するのか、それとも、規制を延期・撤回するのか。

(記者:及川 健二)

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最終更新:11月28日13時41分

この記事は、市民記者メディアに登録された方々が書いたものです。

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