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血液型と性格の関わりが言われるようになったのは、血液型が発見されてからわずか数十年後、日本での最初の主唱者は、現在の御茶ノ水女子大学の心理学者だった古川竹二という人で、1932年に「血液型と気質」(三省堂)という本を出版しています。古川教授の研究は、一部の軍隊では兵の適性を見るのに起用され、医学会にも広く紹介されました。しかし、当時は自分の血液型を正確に知る人も少なく、実験対象も学生ら数十名に限られました。その上、法医学会という、全く違う分野の学会からの強い反発を受けることになり、古川教授は研究を断念せざるをえませんでした。
それから40年後、作家の能見正比古が、30年余りの観察分析報告を最初の本、「血液型でわかる相性」(青春出版社)を出版したのを機に、「血液型人間学」を新たな人間の心の科学として広く人々に提唱しました。
そして、マスメディアなどでもさかんに紹介され、多くの人々の関心を高めることとなり、血液型ブームといわれる社会現象をもひきおこしました。現在の血液型と性格行動に関する情報は、能見正比古の研究報告がその発信源となっています。しかし、一方で、安易で断片的な情報が蔓延しているのも否めません。
血液型と性格行動の関係に関心を持つ研究者は、他の国でも幾人か現れました。フランスの心理学者ブールデル女史は、O型はメロディ、A型はハーモニー、B型はリズムなど、それぞれのタイプを音楽で表現したことで知られています。その他にも、いくつかの報告がありますが、日本のように研究内容が深く、しかも広く一般的に浸透している国はありません。
日本以外の先進国で、この研究が広がっていない理由はいくつか考えられます。
一つには、先進国の西欧文明は、そのほとんどがO型とA型で9割を占めるのです。血液型は4つのタイプをそれぞれ比較することで、始めてその違いが鮮やかに見えてくるのですから、西欧社会では、B型やAB型の気質傾向を確認することが難しいのです。また、もう一つの理由は、西欧の人々は、自分の血液型を知らない人があまりに多いようです。血液型が分らなければ、この研究への興味も関心も、高まるはずがありません。
日本は、血液型の認知度をとっても、4型がまんべんなく揃う血液型分布をとっても、かっこうの研究の場なのです。 |
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