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血液型人間学の基本的な考え方を紹介します。
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 ABO式血液型という、4つの分類方式を目安にして、人間の性格や行動を比較観察するという試みは、日本をはじめ、いくつかの国々で成されてきました。
 人間の体質や、病気との関係についても、アメリカで研究が進み始まっています。つい最近も、“血液型健康ダイエット”というテーマの本が話題になりましたが、いずれも、もっと多くのデータの積み重ねと、分析の密度を濃くしていく必要がありそうです。

 血液型物質は、人間を含めた生物全ての、材質の違いを示している、今のところ唯一とも言える客観的な基準です。血液型人間学を提唱した故能見正比古は、この基準を突破口にして、人の性格や行動傾向に関するデータを大量に集め、丹念に比較分類して、人間性の科学という未知の分野に、大きな足跡を遺しました。
 数十万を超える、気質や行動に関するアンケート調査や、スポーツをはじめ多くの専門分野における、血液型分布の偏りは興味津々であり、これまで蓄積された夥しいデータを、改めて見直すまでもなく、私たちは日常生活のそこここで、鮮やかすぎるほど血液型別の特徴を肌で感じています。

しかしながら、この新しい科学分野の革新性と、今後の可能性について、どこまで理解しているのでしょうか。
私たちは、血液型ごとの気質特徴の一部分を安易に取り上げて、それで人の性格をキメつけてはいないでしょうか。
処世術に生かせる、便利な特効薬ぐらいに考えているかも知れません。
 もちろん、大衆がつくる大衆のための科学としてスタートした分野ですから、面白おかしく、すぐ役立つ実用知識として、自由に幅広く情報交換できることは必要です。ただ一方で、多くの人々に潜在する性格のキメつけと、誤解に満ちた性格用語、人に対する差別意識や先入観を洗い流さないで、勝手に血液型分類で価値評価をしたり、いい加減な情報を振り回す愚かは、何としても避けたいものです。

 人間性の科学は、学問としてのスタート地点に着いたばかりです。これまで、あまりにも主観的に語られすぎている、人間の心と行動の問題......どうせ分からないこととして、神秘のベールに包み込んでしまったり、経験の積み重ねで、おおむね理解したような気になってみたり、いずれも正確ではなく、実は何ひとつ分かっていないのが現状でしょう。
 だからこそ、せめて、ABO式血液型という知名度の高い比較基準をもって、人間の行動や社会現象を眺め直してみようということなのです。
 現時点では、人間という複雑で変幻自在な生き物の、ほんの片鱗を、科学の眼で垣間見ているにすぎないのだということも、改めて確認しておく必要があります。

 はからずも、多くの血液型ファンからの熱烈な応援とマスコミの協力態勢、インターネットサーバーの構築などによって、膨大で多岐にわたるデータの収集が可能になっている現在、個人や企業にとって、実用的で楽しい情報の数々が、リアルタイムで提供できる環境とシステムが整いつつあるのです。

 人間科学は、血液型によってのみ解明できるほど、単純で安易なものではありませんが、未知の分野をワクワクするような楽しさで、ひとつひとつ解きほぐしていく第一歩になるに違いありません。


1998年 秋    能見俊賢

監修: 能見俊賢
制作・編集: TRIANGLE MOVE
発行元: NPO 血液型人間科学研究センター
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