福岡県筑紫野市阿志岐の市道脇の側溝で1日に遺体で見つかった近くの安武トモエさん(85)の死因は、司法解剖の結果、野犬のような動物に全身をかまれたショック死の可能性が高いことが2日、筑紫野署の調べで分かった。同署は住民に動物への注意を呼び掛け、市も捕獲用のわなを仕掛けるなどの対策に乗り出した。

 同署は当初、安武さんの遺体の損傷が激しかったため、大型車にひき逃げされた可能性があるとみて捜査していた。しかし、現場周辺に交通事故の遺留品や痕跡はなく、遺体には顔を含めて全身に数多くのかみあとがあった。歯形から、犬の可能性が高いという。

 同署には、付近の住民が野犬に襲われたり、歩き回っていたりするなどの目撃情報は寄せられておらず、飼い犬がいなくなったという届け出もないが、筑紫野市環境保全課によると、今年1月に同市阿志岐で土佐犬のような大型犬がいたという情報が1件あり、わなを仕掛けたが捕獲できなかったという。

 同課は2日夜、現場近くに捕獲用のわなを1カ所設置。住民に注意や情報提供を呼び掛けるチラシを作り、現場周辺の世帯に配布する予定だ。

 同署も2日午後、巡回パトロールで住民に動物への注意を呼び掛けた。同市教委も現場から約300メートルの阿志岐小と吉木小について、3日から集団下校を指示した。

 近くに住む会社員男性(56)は「犬を飼っている家は多いが、みんなつないでいる。野犬なんて話は聞いたことがない。散歩が日課だが、しばらくは控えようと思う」と不安を口にした。

=2007/12/03付 西日本新聞朝刊=