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姉妹の父「何したって帰ってこん」 坂出事件

2007年12月03日15時33分

 香川県坂出市のパート従業員三浦啓子さん(58)と孫の山下茜(あかね)ちゃん(5)、彩菜(あやな)ちゃん(3)姉妹が遺体で見つかった事件で、姉妹の父、山下清さん(43)が2日夜、朝日新聞の取材に応じ、我が子を失った心情を吐露した。死体遺棄容疑で逮捕された三浦さんの義弟、川崎政則容疑者(61)への怒りをあらわにし、大人のトラブルに巻き込まれた幼子の短すぎる生涯に思いをはせた。

 「何をしたっておれの子は帰ってこん。帰ってこんのや」

 坂出市内で取材に応じた山下さんは宙を見つめ、声を振り絞った。無言で戻ってきた姉の茜ちゃんの顔は、歯を食いしばったような、悔しさのにじんだ表情に見えた。「なんで、こいつがこんな顔せなあかんのか。(川崎容疑者が)憎くて仕方がない」とうつむき、こみ上げる涙を袖でぬぐった。

 3人がいなくなった11月16日以降、夜になると車をあてもなく走らせ、消息を追い求めた。遺棄現場となった坂出港の資材置き場のすぐそばを通ったこともある。

 17日朝、情報提供を呼びかけようと、自宅前で報道陣に心境を打ち明けたのを機に、マスコミが連日押しかけた。自宅を出ると尾行され、いらだって大声を出したところだけがテレビで放送された。出演者が自分を犯人視するかのような発言をするのも聞いた。

 「本当のことがわかったら、謝罪してくれるんですかね」。あらぬ誤解を受け続けて、人間不信になりかけた。

 不安と疲労が重なり、ふと眠りに落ちた時、姉妹の夢を見た。「茜が彩菜の手を引いて、暗闇を必死に歩いとるんです」。もがいて助けを求める2人の姿も目にした。

 大人のもめ事の犠牲になった二つの小さな命がふびんでならない。「泣いて、笑って、走って、けがして……。困らせることもあるし、笑わせることもある。そんなすべてが思い出です」と目を閉じ、唇をかみしめた。

 葬儀を終え、2日に3人の衣服を買った。裸で埋められていたことを知ったからだ。遺体が見つかった場所に家族で供えたいと思う。

 「これ以上、おれらみたいな家族を、不幸な人間を作ってほしくない。子どもに手をかける前に、それを宝と思っている人のことを考えて、踏みとどまってほしい」

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