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2007年12月03日

前田秀樹、水戸を去る

突然の発表であった。
2日に行われた水戸ホーリーホックファン感謝デーの冒頭、「人事についての発表は明日以降」と挨拶で話した宮田裕司社長のあとにマイクを渡された前田監督。
その場で「先ほど社長から来季の続投がダメだという話がありました」と打ち明けたのであった。

水戸を率いて5年間、何度も「水戸にすべてを懸けている」と口にし、ありったけの情熱を注いできたからこそ、目を赤らませて「まだこのチームはやらないといけないことがいっぱいあります。それを途中で投げ出してできないことがすごくつらい」と語った。
ピッチの中だけでなく、サポーターと対話をし、市民クラブの夢を語り、サポーターも一丸となったクラブ作りに尽力してきた。
間違いなくクラブは前田監督を中心に前進し始めていた。

だが、その流れも途切れてしまった。この監督人事については完全なる社長の独断であり、強行に行われたもの。経緯は以下のサイトに詳しく書いてあるので、読んでもらいたい。
http://supportista.jp/column/column_detail.html?id=2
http://supportista.jp/column/column_detail.html?id=3
誰も納得できない形で情熱の漢・前田監督が水戸を去ることが残念で仕方ない。
ファン感後、前田監督は何度も何度も「悔しい」とこぼした。

3日に正式発表となったが、この発表の方法に憤りを感じざるを得ない。
ホームラストゲームとなった第51節C大阪戦後、スタンドから大きな「前田コール」が巻き起きた。そして、選手たちもゴール後にベンチに走り、前田監督と抱き合うなど「お別れムード」に満たされた。
しかし、それを作り出したのはメディアが「前田監督退任濃厚」の記事を掲載したからであり、クラブが演出したものではない。
さらにファン感でもクラブ側(というより宮田社長)は口を閉ざし、前田監督が思い切って打ち明けるしかなかったのである。

クラブ側が前田監督に別れの場を提供しないというのは5年もの長い間チームの指揮を執ってきた人物に対しての配慮があまりにも欠けている。
そして、前田監督と蜜月を送ってきたサポーターに対しても公で別れ場を作るのが当然だろう。しかし、クラブとしてそうした場は作らないという。
これには、クラブというより社長が批判逃れをしているとしか言いようがない。

退任の理由として「変化が必要だと思った」と宮田社長は改革を強調したが、その強い意志があるのならば、批判の矢面に立つべきだろう。
秘密裡に人事を進め、それを隠し通してシーズン後に発表しようとする姿勢はサポーターに対しての裏切り以外何ものでもない。
そこには「市民クラブ」としての理念のかけらも感じられない。
前田監督が築いたサポーターとの信頼関係は崩れることとなってしまった。

ファン感後、会場となった体育館の脇で選手、スタッフが集まり、最後のミーティングが行われた。
しかし、そこに宮田社長は現れることはなかったという。
ある選手は目を真っ赤にして「社長はどこにいるんですか? 1年の最後くらい『お疲れ様』くらい言うのが当然でしょう! ついていけないっすよ」と怒りを露わにした。

宮田社長のサポーターや現場に対する姿勢がこの件で明らかになっただろう。
少なくともサポーターと現場の方向に体と心は向いていない。


・ファン感謝デーでの前田秀樹監督のコメント
まず1年間のお礼をさせてください。それと今騒がれています進退問題ですが、ここ2ヶ月間辛い思いをして眠れない日々が続きました。それでもサポーターは支えてくれました。先ほど社長から来季の続投がダメだという話がありました。今日を持ちまして、みなさんとお別れをすることになりました。

昨日の札幌戦で勝てませんでしたが、選手たちは最高の試合をしてくれました。どちらが優勝チームか分からないくらいのファイティングスピリットを見せてくれました。こうした試合ができるようになったのもサポーターと選手のおかげです。感謝しています。

また、確実にこのチームは試合に出られない選手も伸びています。そして、私の右腕となってくれたスタッフ、事業部、育成コーチ陣、本当にありがとうございました。

ただ、まだ水戸ホーリーホックが終わるわけではありません。来季いい成績になること、そして市民クラブとして素晴らしいクラブになってくれることを願っています。本当に5年間、一生懸命やってきましたが、まだまだこのチームはやらないといけないことがいっぱいあります。ただ、それを途中で投げ出してできないことがすごくつらい思いです。

本当に5年間、みなさんの応援や支援があったからこそ、頑張ることができました。そして、このクラブの位置方向づけをしてくれた鬼塚強化部長には本当に感謝しております。どうも5年間、ありがとうございます! また違うところで会える日を楽しみにしています。

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