コラム

ごじゃっぺ社長、また暴走

栗林源太

 水戸の「ごじゃっぺ社長」こと宮田裕司社長のごじゃっぺぶりがまた明らかになった。

 すでに後任候補にオファーを出しているというのである。
 もちろん「クラブ首脳が監督を交代させる事」に本来何の問題もない。しかし今回の件では、フロント内で前田秀樹監督の去就に関しての議論すらされていない段階で強化部に対しての相談もなく独断で出していたというから、ただごとではない。ある関係者は呆れ顔で「もう問題外。横暴以外の何物でもない。クラブに対しての背任行為ですよ」と語った。

 後任候補はすでに8月に練習を見学に来ており、前田監督はその時から「ある程度覚悟をしていた」という。それが杞憂で終わらなさそうなのはプロの世界である以上仕方のないことだが、果たしてフロントはトップチームに対して全面的にバックアップしてきたのかという疑問は尽きない。たとえば今季は、小学生の大会を開くためにトップチームが練習会場の変更を余儀なくされるという非常事態もあった。それでも文句も言わず、黙々と与えられた環境を受け入れてきた前田監督だけが責任を取らされるのは、なんとも不自然である。

 宮田社長は自身のブログで「チームを強くしていくためにはどうしていったらいいか。真剣に考えていれば、クラブ内で意見の相違が出てくることは自然なことであると思います。これから這い上がって行こうとしているクラブ内で、意見のぶつけ合いがなかったとしたら、逆にそれの方が問題であると思います。(http://hollyhocktop.blog119.fc2.com/)」と語っている。もちろんそうした議論が成されているのであれば、そしてその議論の先に強化方針が定められていくのであれば、それに対して何かを言う立場にはない。しかし、今回の監督交代に関しては、意見の「ぶつけ合い」がなかったことが問題であり、社長権限という言葉を盾にルール無視の人事を進めてきたことに対して批判が集まってしかるべきだろう。実際にフロント内でも説明責任もまったく果たしていないという。

 後任候補は業界内でも評価が高く、信頼できる人物であることは間違いないという。実際にこの監督交代人事でチームは強くなるかもしれない。ただ、今回の件の問題はそこではない。本来あるべき監督人事でのルールを無視し、それがサポーター不在で進められ、前田監督本人への配慮にも欠けてきたことが問題なのである。それに対して、社長が負うべき責任はあまりにも大きいと言わざるを得ない。また、いまだに前田監督の退任に対して周囲を納得させる説明ができておらず、プロの人間を切るということをあまりにも容易に考えすぎているフシがある。

 プロクラブの社長として器はあるのか。その根本を、宮田社長は問われている。

※「ごじゃっぺ」・・・茨城弁で「いい加減」の意味。

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