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舛添要一厚労相(59)が4日で大臣就任100日目を迎える。瀕死(ひんし)の安倍改造内閣の目玉として入閣し支持率アップに貢献。福田首相に代わっても“内閣の顔”的存在として注目され続けてきた。しかし、最近では難しい対応を迫られる数々の問題をめぐり、厳しい批判にさらされることもしばしば。それでも「『頑張ります』だけで誰が付いてくる? こっちは命がけだ」と猛反論。「月刊・舛添」12月号では「厚労相100日」を振り返った。
―4日で大臣就任100日目を迎える。
「えっ、もうそんなにたった? 長かったとも思えるし、短かったとも…。次から次へと問題が出てきたが、できることから着実にやってきたつもりだ」
―役所の中に飛び込んでみた印象は。
「厚労省が受け持つ分野は年金、医療、労働と広すぎる。『首相以外の国務大臣は17人以内』の決まりがある以上、しかたがないが、省庁の再々編成が必要だとも思う」
―該当者不明の約5000万件の年金記録について全記録の照合が難しい情勢になり、大臣が批判の的になっている。
「確かに参院選でスローガン的な意味で『最後の1人、最後の1円まで確実にやる』と国民の皆さんと約束した。しかし、調べてみると台帳が戦災で焼けていたり、名前を確認しようにも台帳が傷んでいたり、と誰がどんなに一生懸命やっても照合が厳しいケースが出てきた。マスコミは『公約違反』と批判し『大臣は“できるはずはないけど、やってみます”と言うべきではなかったか』とまで指摘した。そんなことを言えるわけがない。国民の不安を少しでも取り除くためにこっちは命がけでやっているんだ」
―意気込みだけ?
「違う。でも、『頑張ります』で誰がついてきてくれるのか? 例えば、プロ野球選手が『今年頑張ります』と言ったら、周囲が『何勝? 打率は?』と具体的な目標を聞くのが普通だと思う。その意味で私は『最後の1円…』と言ったまで。努力もせずに物事が解決するはずもない。今回のことを国民に報告し理解をいただくほかはない。ただ、年金への不安も選挙のときに比べればだいぶ静まってきたのではないだろうか」
―薬害C型肝炎訴訟の原告と対面した際も厳しい指摘があった。
「笑っても、泣いても何か言われる。人の感情の起伏まで批判するのか。マスコミはしようがないね(笑い)。歴代大臣が会ったことがない原告と会ったこと自体は問題解決への大きな一歩だと思う。今まで放置され動かなかった問題がやっと動き出した。まだ障壁はあるが、どうにか年内に解決したい」
―大臣が「年金泥棒はろう屋に入ってもらう」と息巻いていた市町村職員の年金着服問題で刑事告発された職員は結局、起訴猶予となった。
「三権分立だから司法のいうことに口を挟むつもりはない。ただ、刑事告発自体には意義がある。不正は許さない、襟を正すという雰囲気をつくれたのではないか」
―思い描くように仕事が進まず、ジレンマは多い?
「ある程度は覚悟していた。まず官僚機構があり、さらに問題を囲む様々な世界の人たちが存在する。政治の仕事は利害関係の対立を調整すること。簡単に問題が解決できるなら誰が大臣をやっても一緒だ。政治家には艱難(かんなん)辛苦を乗り越えるパワーが必要だとつくづく感じた」
―今後の展開は。
「年金や肝炎などの問題は、過去の大臣の尻ぬぐいをしているのが実情。今後はもう少し前向きなことをやっていく。1つは『人生85年ビジョン』という政策を打ち出したい。『人生60年』時代から今は『人生85年』。新しい働き方や生き方を研究しなければならない。もう1つは日本医療の長期ビジョンの確立だ。今の日本は国家予算約80兆円のうち医療費が約30兆円。高齢化時代に向け、医療費を工面する方法を含め、医療制度に革命を起こす必要があると思う」
―守屋前防衛事務次官が、夫人とともに収賄容疑で逮捕された。
「我々も『なぜ守屋氏だけが4年も次官をやってるんだ』と言っていた。同じ権力者でも政治家は選挙の洗礼を受けるが、官僚には選挙がない。それで役人の頂点にいたらそりゃ腐敗するわけだ」
―守屋氏を重用していたのは小泉元首相だ。
「政治家は個々の省内の情報に詳しいわけではない。役所の人事が難しいのはそのためだ。リーダーをこの種の問題で煩わせないようにするために事務次官が1、2年で交代するのは意味があったはずなのだが…」
―政権への影響は。
「今後の捜査次第だが、この不祥事で海上自衛隊による給油活動を継続するための法案が国会で流れてしまうようだと国益を損なうことになる」
―額賀財務相の「宴席同席」問題をめぐる与野党の攻防が激しい。
「額賀氏は堂々と国民の納得がいくような説明をすればよかったが、結局、証人喚問も見送られた。よく実態が分からないから解明する必要があったのに…」
―国会は混沌(こんとん)としてきた。
「実はねじれ現象は悪いことばかりではない。先月末の国会で厚生労働省関連の法案が一気に5本通った。与党だけの提案だけでなく、民主党の意見も取り入れて、折衷案のような法案ができた。歩調が取れるなら今は衆院の解散総選挙をやる必要はない」
―選挙は遠のいた?
「でも、政治は弾みがつくと分からないからね。厚生労働分野には解散ネタはなく、むしろ防衛省問題だ。もう衆院議員は選挙準備に入っている。連日、政治資金パーティーがあるし、各地でポスター張りなども進んでいる。だから、最近『大臣と一緒に写真を』と頼んでくる議員も少なくないよ(笑い)」
(2007年12月3日09時40分 スポーツ報知)
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〔政治〕