ニュース「遺伝子診断はお金の無駄」――専門家が警告がんや糖尿病などのリスクを測る遺伝子診断は出費の無駄だとする見解を、英国の専門家が発表した。(ロイター)2007年12月03日 09時58分 更新
病気のリスクを検査する遺伝子診断が氾濫しているが、多くは無駄な出費であり、家族歴を調べれば分かる以上のことはほとんど分からないと、医学専門家が11月30日に語った。 遺伝子診断は現在複数の会社が提供しており、普通は何百ドルもかけて、がん、糖尿病、心臓病といった複数の遺伝子が絡む病気の遺伝学的リスクを判定する。 しかし、英国の教育研究病院トラストGuy's and St Thomas' NHS Foundation Trustの遺伝子カウンセラーで、英Human Genetics Commission会員のクリスティーン・パッチ氏によると、大部分が臨床学的な妥当性はほとんどないという。 「お金の無駄だということを伝えたい」と同氏は記者会見で語った。 しかも、診断の結果リスクが浮上すれば無用な不安を抱くか、シロと判断されれば誤った安心感を抱くかのどちらかだとパッチ氏は言う。 ケンブリッジ大学腫瘍学科Cancer Research UKのポール・ファロア氏によると、科学は大きな進歩を遂げているが、本当に役立てるためにはどの程度の遺伝子を検査する必要があるのかは、まだ十分に分かっていないという。 一般的な病気に関連する遺伝子は多数発見されているが、こうした遺伝子の間には複雑な相互作用があるのが普通で、最終的には環境的要因の影響を受けるが、その仕組みはほとんど解明されていない。 ゲノム全般の研究遺伝子診断の分野はこれまで、幾つかの特定遺伝子を調べるものだった。 しかし、大胆な標的医療の世界を約束するゲノム全般の研究が新たに始まったことにより、各個人が自分の遺伝暗号を見られるようになり、様相が変わり始めている。 アイスランドのdeCODE geneticsと、Googleの出資を受けている米23andMeは11月、個人が自分の遺伝暗号を見られるサービスをそれぞれ立ち上げた。 未公開企業の米Navigenicsも近くこれに参入する予定だ。 こうした豊富な資金力を持った企業の新規参入は、遺伝子診断ビジネスの商業化が拡大する状況を物語っていると、ノッティンガム大学科学社会研究所のステュアート・ホガース氏は話す。 しかし危険なのは、事業開発計画が科学よりも先に立ち、規制する側も監視システムの不備のためにうまく対応できていないことだ。 「活況を呈しつつあるこの分野を規制でコントロールできる枠組みがまだ存在しない」とホガース氏。「こうした規制不在の状況により、極めて有望かつ極めて興味深い科学の分野で、われわれは一般からの信頼を失う重大な危機に瀕している」。 遺伝子診断の分野は科学的発見だけでなく、AffymetrixやIlluminaなどの各社が提供するスマートチップの開発によってもヒトゲノムのさまざまな部分のDNAを診断できるようになり、革新がもたらされた。 関連記事
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