2008年度の診療報酬改定における「7対1入院基本料」の見直しについて厚生労働省は11月30日、看護必要度や医師の配置などを要件に厳格化する方針を中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に示した。7対1の要件が厳格化されることに伴う経過措置として、10対1入院基本料を算定している病院では看護補助者を算定数に加えることを併せて提案したが、継続審議となった。
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高度急性期病院に看護必要度を導入?
前回の診療報酬改定で創設した「7対1入院基本料」について厚労省は、手厚い看護を必要とする患者を受け入れている急性期病院を評価するために新設したが、「本来取るべき病院ではない病院が取っている」として、「7対1入院基本料」の算定要件を見直す方針を既に示している。
厚労省は7対1入院基本料算定のハードルを上げるため、入院患者の重症度を判断する「看護必要度」の判断に使う指標について検討していた。
この日厚労省が示した新しい指標は、特定集中治療室(ICU)での治療を終えた後の患者が入院するハイケアユニット(HCU)で使用されている「重症度・看護必要度評価票」のうち、A得点(モニタリングおよび処置などに関する得点)の「特殊な治療法等」を急性期病院の一般病棟になじむように変更したスコア。
具体的には、「特殊な治療法等」を「専門的な治療・処置」に変更し、その内容を「抗悪性腫瘍剤(注射薬)の使用」「麻薬(注射薬)の使用」「放射線治療」「免疫抑制剤(注射薬・内服薬)の使用」、「昇圧剤(注射薬)の使用」「抗圧剤(注射薬)の使用」「抗不整脈剤(注射薬)の使用」「ドレナージの管理」――の7項目とする。
また、医療法標準による医師の人数の要件に加えて、さらに7対1を算定するための医師の配置要件を導入することを提案している。
保険局の原徳壽医療課長は「旧2対1では、約半数の病院が100床に対し医師15人だった」と述べているが、ベッド数に対する人数で判断するのか、外来患者を含めた数と医師数の割合を基準にするのか、具体的な内容は今後の審議で詰める。
以上の要件によって、7対1入院基本料の要件に合わない病院が増えることを考慮し、10対1算定病院に対して看護職員の資格を持たない看護補助者を算定数に加える救済措置を導入する。
このほか、7対1入院基本料を病棟単位で算定することに対しては、転室を繰り返す患者の負担増や医師の負担増大などの問題点を指摘し、導入しない方針を示した。
今回の提案に対し委員からさまざまな指摘がなされ、土田会長は「具体的な制度設計を再提案してほしい」と求め、継続審議とした。
更新:2007/12/03 キャリアブレイン
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