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フォーラム:「少年犯罪に向き合う」 元家裁判事、安易な厳罰化疑問--尼崎 /兵庫

 ◇須磨の「少年A」審判、元神戸家裁判事・井垣さん

 97年に神戸市須磨区で起きた小学生連続殺傷事件など、約6000件の少年審判を担当してきた元神戸家裁判事の井垣康弘弁護士(67)が、尼崎市の聖トマス大で開かれたフォーラム「少年犯罪に向き合う」にパネリストとして参加した。井垣さんは少年法の厳罰化が進む流れに「対面したほとんどの少年は少年院で立ち直った。安易な厳罰化が正しいのだろうか」と疑問を投げかけていた。【井上大作】

 ◇社会全体で学校支える制度を

 井垣さんは、大阪地裁などを経て97年に神戸家裁判事になり、家裁処分の決定要旨を公表するなど開かれた少年審判のあり方を実践してきた。がんのため声帯を失ったが、05年の定年退官後は人工声帯器を使って講演活動などに精力的に取り組んでいる。

 フォーラムでは、非行少年に対する社会の目が厳しい現状を訴えた。少年院では自動車の運転免許の取得が難しいことを例に「社会復帰に免許は必要不可欠だが(免許取得に)社会の反発がある」と話し、積極的な職業訓練を行っている韓国の実例を紹介した。

 また、非行少年の学力が小学校低学年ぐらいのレベルで止まっている場合が多いと指摘。「勉強を分からないまま過ごしてきた子は、中学生になって急に荒れる。先生だけではなく、ボランティアが学校に入って勉強を教えるような仕組みが必要ではないか」と述べ、社会全体で学校を支える制度を提案した。

 聖トマス大の佐々木博人・准教授も演壇に立ち「子どもの居場所を見つけ、自尊感情を持たせることが必要なのではないか」と訴えた。会場は多くの教職員らで埋まり、尼崎市の小学校教諭が「担任以外の教師が学力の低い子どものフォローに回るシステムもある」と発言するなど、非行防止やその立ち直り支援などに関し、活発な議論が交わされた。

〔阪神版〕

毎日新聞 2007年12月1日

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