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道路特定財源の暫定税率切れ、地方で最大384億円減収

2007年11月29日08時00分

 道路特定財源をめぐり、本来の税率に上乗せされている暫定税率が来春に無くなった場合、税収減の影響が都市部より地方で大きいことが分かった。岩手県や佐賀県の減収分は都道府県税収の7〜8%に上るが、東京都や神奈川県は1%台にとどまる見通し。影響の大きい自治体は、地域経済の道路事業への依存度も高いと見られ、暫定税率廃止への反対を強める背景になっている。

表

  

 道路整備に使い道を限った道路特定財源は国税分と地方税分があり、07年度は国分が3.4兆円、地方分が2.2兆円。道路建設促進を名目に本則の約2倍の上乗せ税率(暫定税率)がかかっており、地方分の中心になる軽油引取税では、1リットル当たり17.1円上乗せされて32.1円になっている。暫定税率の適用期限が来春にすべて切れた場合は、地方分が年間1兆円程度減る計算だ。

 国土交通省と総務省が、この減収分を各自治体の05年度決算に基づいて分析したところ、北海道が384億円、東京都が327億円、愛知県が313億円だった。市町村は総額4千億円だった。

 各自治体の都道府県税収全体に占める割合でみると、岩手県(減収額106億円)が8.54%で首位。秋田、青森、佐賀、山形、鳥取などとあわせ9県が7〜8%で上位に並んだ。

 軽油引取税は、各自治体の中でトラックなどが軽油を給油したときにかかり、税収はほぼ、地域の消費量に比例するとされる。地方は、法人税などでは東京など大都市部と大きな差があるが、軽油の消費量はそれほどの差がないため、結果として特定財源への依存度が高くなったようだ。

 一方、支出との関係では、すべての都道府県は道路事業費が特定財源の収入を上回っている。大分県の06年度の道路事業費は562億円だが、特定財源は補助事業の国費分も含め331億円。暫定税率が切れたら道路の新設ができなくなる、と主張している。

 収支両面での「道路依存」を背景に、地方自治体は暫定税率の延長法案の成立を図ろうと、道路特定財源の一般財源化を求めている民主党への陳情活動を活発化させている。

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