年の瀬を控え、うまいタイミングだと感心した。十一月二十二日に発売された「ミシュランガイド東京版」である。忘年会や新年会など、会食をする機会が増える時期だ。クリスマスもある。掲載された百五十の星付きレストランに大きな関心が集まることは容易に想像される。
案の定、ガイドは初版十二万部が四日間でほぼ完売したという。最高の三つ星を獲得した八店は予約が殺到しているとか。海外では定評のあるガイドだけに、そのランク付けに一目置かれるのも当然といえる。
ところで、ミシュランは外国人向けの日本旅行ガイドを今春、本国のフランスなどで発売している。仏語版なので日本ではそれほど話題にならず、現物も見ていないので、いまひとつわからない。これまでの報道などを見る限りでは、こちらも専門スタッフが日本国内を調査したうえで、一つ星から三つ星まで格付けしたという。
そのランクは東京、京都、奈良などが三つ星で、鎌倉、金沢、大阪が二つ星。一つ星に札幌、横浜、神戸に加え岡山、高松、広島が入っている。また、施設・場所では、姫路城や富士山、日光、宮島、松島が三つ星。岡山県内からも後楽園が星三つに輝いた。
東京西部の高尾山が三つ星になったのには一様に驚きの声が上がっている。首都圏の人しか知らないような行楽地が、一躍世界的な観光地に躍り出たわけだ。地元では早速、三つ星をアピールしており、春以降、週末を中心に行楽客が増えているという。まさにミシュラン効果は抜群といえるようだ。 (東京支社・八木一郎)