クリスマスや歳暮商戦などとともに忘年会の広告が増えてきた。一年の憂さを発散させて、気持ちよく新年を迎えたい。
大手ビール会社の意識調査結果によると86%が忘年会参加に意欲的だ。男性は会社関係で六―十人、女性は友人・知人の三―五人が中心という。「もし幹事なら」と会場選びの重点を尋ねると、多彩でおいしい料理と安さを兼ね備え、個室がある所とか。なかなか難しい。
忘年会の起源は鎌倉・室町時代ごろの連歌を詠む会といわれる。園田英弘著「忘年会」によると、本格化したのは明治時代から。戦後に復活してからは経済成長の波に乗り、「一時的なブーム」との見方を何度も覆してすっかり定着した。
日本人になじみの忘年会だが、必要がないだろうと思える人がいた。政官業の汚職事件などで、証言に立ちながら「記憶にありません」「忘れました」を繰り返した人々だ。
そこにいくと今回、防衛装備品の納入をめぐる汚職事件で逮捕された前防衛事務次官の守屋武昌容疑者は、証人喚問で接待や会合の様子を語るなど少しは記憶があるようだ。「メモ魔」と呼ばれ、面会の内容などを詳細に日記につけていたという。確認しながら答えていたのかと思ったら、日記は次官退任時にすべて焼却したそうだ。
よほど忘れたいことが書かれていたのか。真相を語るまで忘年会はお預けだ。