2007年12月01日
素晴らしい。我々は朝日新聞のお墨付きを得たようですよ。


中国軍艦寄港―新たな歴史の第一歩に:朝日新聞社説(11/30)
軍事の面での信頼醸成は、両国関係だけでなく、アジア全体の安定にも好影響を及ぼす。中国は積極的に国連の平和維持活動(PKO)に参加しているが、要員の訓練などで日中が交流し、アジア諸国にも広げていくことを考えたい。

もう一つ望むのは、防衛交流を軍事関係者だけにとどめず、一般にも開いていくことだ。例えば、日本の研究者やメディアが中国軍を見学したり、取材したりする機会を増やす。国民レベルで少しでも理解が進めば、それだけ的はずれな推測は減ってくる。


朝日新聞は防衛交流を推奨しています。軍事関係者のみならず、一般人にも他国の軍隊を見学せよ、と。当然それは「市民レベルでの見学」を含むわけですから、軍事マニアの見学も肯定されます。勿論、マニアではない一般人が大挙見物に押し掛けるのも大肯定されるでしょう。そしてそれを妨害する軍艦寄港反対運動などに朝日新聞は組しない立場にあると、社説で明言されたものと理解します。

軍事の面での信頼醸成。一般に開かれた防衛交流。

当然これ等は中国軍に限らず、ロシア軍やアメリカ軍やイギリス軍やフランス軍やドイツ軍やイタリア軍やスペイン軍やトルコ軍やインド軍やパキスタン軍や韓国軍や台湾軍などの他国の軍艦が来ても、交流を深め相互理解が増せば平和・安定への第一歩となるのです。

と朝日新聞は社説で言いたいのでしょう。まさか日中間だけに限定される主張ではないでしょうから、全ての国家軍隊に対して適用されるものと解釈します。私はそう理解します。

そうすると、朝日新聞には早速聞いてみたい事が出来ました。最近、中国が米軍の艦船や輸送機の立ち寄りを立て続けに拒否しているのですが、これは憂慮すべき事態と考えます。香港への入港を拒否された空母キティホーク戦闘群は、横須賀への帰り道に台湾海峡を突破して意趣返しを行いました。こうした負の連鎖は東アジアの安定を脅かすものです。

中国の米艦入港拒否は、朝日新聞社説(11/30)の主張と真っ向から対立するものであり、是非とも朝日新聞は社説でこの問題を取上げて頂きたい、と思います。
posted by JSF at 22:56 | Comment(33) | TrackBack(0) | 政治
2007年11月30日
香港への寄港を拒否された米空母キティホークの一件は、米中間の新たな火種となりかねません。最初は小さな事だと思っていたのですが・・・




アメリカ政府も事を荒立てる気が無いようです。

ホワイトハウスのダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官:「われわれは説明を求めており、じきに回答を得られると考えている。そうすればこの問題は終わりだ」

そして正式回答が来ました。↓


米中関係の後退が背景にと中国、空母戦闘群の香港寄港拒否 [11/30 CNN]
北京――中国政府が11月21日、米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とする空母キティホークと戦闘群の艦艇の香港寄港を一時拒否した問題で、中国外務省の報道官は29日、入港拒絶は米国の行動で米中関係が損なわれていることが背景にあるとの考えを示した。

〜中略〜

また、ブッシュ大統領が28日、ホワイトハウスで訪米中の楊外相と会談し寄港拒絶問題を取り上げ、同外相が双方の誤解が原因と説明したとする報道を事実誤認と打ち消した。外相の説明は、ホワイトハウスのペリーノ大統領報道官が明らかにしていた。


ホワイトハウスのぺリノ報道官が勝手な事を語ったのか、それとも楊外相は実際に事態の沈静化を図ろうとしたものの、北京に否定されたのか。どちらの可能性も有り得ますが、中国はこれでアメリカに喧嘩を売った事になります。事態を収めようとしたホワイトハウスの思惑は外れてしまいました。

しかし入港を拒否された海軍はキッチリと意趣返しを行い済みでした。


米空母が台湾海峡を通過 香港寄港拒否で示威行動
中国政府から香港寄港を一時拒否された米空母キティホークが、香港近海から事実上の母港の横須賀基地(神奈川県)に戻る際、台湾問題への配慮から航行を控えてきた台湾海峡を通過していたことが29日、米軍関係者の話で分かった。

寄港を拒否した中国に対する事実上の示威行動とみられる。米空母が台湾海峡を通過したのは、1996年の台湾総統選に端を発し、米空母2隻の派遣で情勢が緊迫した「台湾海峡危機」以来とされ、米中関係に波紋を広げそうだ。

関係者によると、21日に香港入港を断られたキティホークと随行するイージス駆逐艦など計6隻は南シナ海を北上し、23日から24日にかけて台湾海峡を通過。その際、不測の事態に備え、艦載機を飛ばして周辺の警戒監視活動を行ったという。


もし中国側の入港拒否の真意に「台湾へ武器を売った事」があるとしたら、米側が香港入港拒否の意趣返しとして空母キティホーク戦闘群に台湾海峡を通過させた事は、中国側にとって重大な意味を持ちます。もしかしたら思惑が外れたのは、北京の方なのかもしれません。

なお同じ頃、韓国釜山港にはシーウルフ級攻撃型原潜「コネチカット」が入港しています。

世界最強の米原潜「コネチカット」、釜山に寄港 [11/27 朝鮮日報]

ただし日程的にコネチカットの釜山入港は、今回の米空母香港入港拒否の一件とは無関係でしょう。
posted by JSF at 23:08 | Comment(27) | TrackBack(0) | 軍事
2007年11月28日
中国海軍の051B型駆逐艦「深セン」が晴海埠頭にやって来ます。滞在期間は11/28〜12/1で、一般公開はありません。入港中は満艦飾・電灯艦飾を行います。日本海上自衛隊のホストシップは、むらさめ型護衛艦「いかづち」です。中華人民共和国の軍艦が日本に寄港するのは初めての事です。

051B型駆逐艦(ルハイ型/旅海型) - 日本周辺国の軍事兵器

そして反戦平和団体による抗議運動は行われない見通しです。神戸港のような非核証明書を提出させる運動も聞きません。最近、核保有国のインドやパキスタンの軍艦が入港した時も特に反対運動はありませんでしたから、今回も同様になると思います。5年前の国際観艦式の時にロシア海軍の巡洋艦ワリヤーグが来た時もそうでしたし、10年前にウダロイ級駆逐艦アドミラル・ヴィノグラードフが来た時もそうです。英空母や仏フリゲートの寄港もスルーですし、何時も通りといえば何時も通りです。

結局、彼等が反対するのは米軍の軍艦だけが対象のようです。どうも反戦平和団体の皆さんにとって晴海埠頭は民間港扱いではないのか(でも軍港じゃありませんよ?)、昔から軍艦が来ても常にスルーされています。晴海は外国軍艦艇の訪問が多いですから、一々反対するのが面倒なんでしょうか。

・・・そういえば香港への寄港を断わられた米空母キティホークが27日に横須賀に帰ってきているので、中国駆逐艦が居る間にキティホークを晴海に移動させて「親善訪問」させたら面白いかも。米海軍にそんな茶目っ気を期待するのは・・・いや、奴等ならやるかも・・・って、燃料代の浪費だしなぁ。

結局、中国の軍艦が来ても特に反対運動は無いでしょう。晴海以外の民間港に寄港するとか、原子力艦だとか、大型の空母だったりすると変わってくるのかもしれませんが。


さて問題はこの次です。今度は海上自衛隊の艦艇が、中国に親善に行くのです。予定はまだ決まってはいませんが、そういう約束です。あちらでは市民による抗議運動が予測されます。韓国へ親善訪問した時も、最初はそうでした。しかし回数を追う毎に友好的なムードになっています。


プサンハン(釜山港)の自衛艦旗−SECURITARIAN 1999年1月号
96年9月の練習艦隊(練習艦、護衛艦各1隻)の訪韓時は一部に「日本艦隊入港反対!」の声もあり、厳重な警備に守られての寄港だったという。しかし、今回は反対ムードなどまったくなく、釜山入港中の護衛艦の一般公開では、見学は3日間で1万人以上に上った。訪れた市民にたずねると、「日本の最新鋭艦が来た、とテレビニュースで見たので」(30代男性)というのが大部分で、中には「専攻している国際関係学の卒論の参考として日本の海軍を直接、見に来た」(釜山在住の女子大生)というように韓国では、まったくといっていいほど実像が知られていない自衛隊を紹介するいい機会になったようだ。


このように韓国との親善訪問は成功しています。中国とも親善訪問を繰り返し、お互いの友好を深める事も出来るかも知れません。取り合えず中国海軍にお願いしたいのは、次はソブレメンヌイ級を寄越して下さいということです。
posted by JSF at 03:11 | Comment(68) | TrackBack(1) | 軍事
2007年11月25日
元防衛庁キャリアが自らの犯罪行為をブログで暴露。罪状は遺失物等横領罪。つまり"ネコババ"行為です。


太田述正コラム#2191(2007.11.23)
昨日早朝、自宅から最寄り駅に向かう途中、道路に1万円が落ちていて拾いました。もちろんネコババするつもりだったけど、やはり良心がとがめます。このコラムを読んで申し出られたら、ご近所の方ならお返ししますよ。


本人はネコババするつもりじゃないと表明していますけど、これはネコババそのものです。法律上、落とし物を拾ったら警察に届けなければなりません。拾った1万円札を自分の懐に仕舞い込み、警察に届けようとしない以上、それはどう見てもネコババです。ネット上のコラムを読んでいたら返しますって、落とし主がそのコラムを見ている可能性なんてかなり低いでしょう。返す気が全く無いようにしか見えません。


太田述正コラム#2193(2007.11.24)
現在なら、(判例を調べたわけではありませんが、)1万円程度なら、たとえネコババしたとしても、占有離脱物横領罪としての可罰的違法性はないのではないかと思料されます。

〜中略〜 

今時、東京の交番なんて、どこでもおおむね開店休業状態であり、落とし物の届け出は署まで行かなければならない。
その私の手間と、この落とし物の事務処理にかかる警察の手間を考えれば、届け出なんて控えるべきなのです。

〜中略〜

結論的に申し上げれば、あの1万円札を私はネコババしたって問題はないのだけれど、いわんや、拾ったという事実をネット上で公表し、遺失主が申し出ればお返しするとまで申し上げているのですから、全くもって何の問題もない、ということなのです。


「1万円程度、横領しても罪に問われない(根拠無し)」とか、「警察の手を煩わせない為に届け出ない(自分も面倒だし)」とか、「私はネコババしたって問題はない(ネットで告知してるから大丈夫)」等と、目を疑うような記述ばかりで呆れ果てるばかりです。

そして大きな問題が二つ、存在します。まず警察に届けていない時点で法律上、罪に問われます。次にネット上で公表してしまった事で、持ち主に返す事が不可能になってしまったということです。落ちていたのは財布ではなくお札であり、落とし主を特定する事は難しく、ネット上で告知した結果により、もし「複数の落とし主」が沢山現れた場合にどうしようもなくなるのです。

これがネット上で告知せずに普通に警察に届けていれば、落とし主が沢山現れるような事態は避けられます。「あの場所に1万円が落ちていた」ということを他の人間が知る可能性は少ないでしょう。ところがネット上で公表してしまえば大勢の無関係の人が知ってしまいます。

・・・一体どうして「ネット上で告知すれば問題無い」という発想に至れるのでしょう? ネット上で告知したからこそ、取り合えしのつかない問題が発生してしまいました。今更警察に届けても「複数の落とし主」が現れる可能性はそのままです。そもそもこの問題に至る以前に、落とし主がコラムを読む可能性を考えれば、告知するという行為の無意味さに気付いて然るべきですが・・・。


太田述正掲示板
Re: 遺失物等横領罪 投稿者:太田述正 投稿日:2007年11月23日(金)20時36分52秒

考えてみると、ホームページ上に私の事務所の住所は記してあるけれど、自宅の住所は記してないので、私のコラムを読んだ人でも、私を個人的に知っていない限り、1万円を落としたと申し出られるわけがありませんでした。

住所の公開はマズイので、最寄りの駅を書くと、東急池上線御嶽山駅です。この駅に東側から接近中に拾いました。
なお、今更、交番にも届けるのも何だかヘンです。

というのは、拾った1万円を財布に入れてしまい、現在1万円札6枚が財布に入っており、そのうち拾った札がどれだったか分からなくなっているからです。

拾ったのはモノとしての1万円札か、価値としての1万円か、果たしてどちらだと皆さん、お考えですか?


もうこのやり取りを見る限り、お金を持ち主に返そうという気がサラサラ無いことが見て取れます。掲示板での反論、ブログでの反論を見ていると、どうやら太田述正氏は本当に1万円をネコババしてしまった模様です。彼は一体、どのような手段でこの件の収拾を付ける気なのでしょうか。

何もしなければ、太田氏はこのまま1万円をネコババした人間として扱われます。犯罪者呼ばわりされても仕方がありません。

全部嘘でした、冗談でした・・・と「釣り宣言」を行った場合、嘘吐き呼ばわりされるでしょう。そうなれば太田氏の他の証言についても、信憑性が無いのではないかと疑われます。

素直に1万円を警察に届けるのが現時点では最良ですが、既にネット上で公表してしまった結果、落とし主の特定が困難になっている事を謝罪しなければなりません。

どのような選択肢を選んでも、彼にとってはマイナスでしかないでしょう。一体何故、犯罪行為である「1万円ネコババ報告」をブログで得意げに発表してしまったのか。全く理解できません。
posted by JSF at 22:18 | Comment(135) | TrackBack(0) | 政治
2007年11月24日
皇国の守護者 Amazon.co.jp


ウルトラジャンプで連載されていた漫画版「皇国の守護者」は突然の打ち切りで連載終了、5巻で完結。正直、勿体無いとしか言いようがないです。伊藤悠先生の描く短躯・三白眼の新城直衛のデザインは、凄く気に入っていたのですが、今後、見ることは出来ないのですね。返す返すも残念でなりません。

打ち切りの原因は原作者の佐藤大輔氏にあると噂されていましたが、<理不尽な打ち切り 皇国の守護者5巻を読んで:日々だらくだるくの考察にあるとおりなんでしょうか・・・その可能性が高いのだとすると、他の雑誌社での再開も望めず、これでお終いということになってしまいます。どうにもなりそうにありません。・・・伊藤悠先生、これまで御苦労様でした。新たな作品での御活躍を願っています。

打ち切りの恐怖と言えば、長谷川哲也先生の「ナポレオン〜獅子の時代〜」も連載が続くのか心配しているのですが、単純に雑誌が休刊になったり編集部の方針で打ち切りになったのなら、読者の人気があるならば他所の雑誌での連載再開も望みが有ります。

ですが「皇国の守護者」の場合は人気があるにも関わらず連載再開の望みが薄いのですから、どうにもやり切れないですね。
posted by JSF at 22:36 | Comment(46) | TrackBack(1) | 雑談