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【静岡】

南アで携帯つながる場所は? 県警山岳遭難救助隊が調査

2007年12月2日

 年末年始の冬山シーズンを控え、静岡県警山岳遭難救助隊(真田喜義隊長)は、3日から静岡市葵区の南アルプスで、携帯電話や携帯メールの有効性を初めて調べる。携帯電話による遭難の届け出が近年増えているためで、通話可能な地点の情報提供も視野に入れた実験的な調査となる。県警によると、全国的にも珍しい試みという。

 山岳遭難救助隊は富士山、南アルプスを管内に抱える静岡中央、富士宮、御殿場の3署と県警本部地域課の20人で構成。訓練は毎年この時期に行っており、今年は4泊5日の日程で笊ケ岳(ざるがたけ、2629メートル)、青薙山(あおなぎやま、2406メートル)など、いずれも標高2000メートル以上の山の尾根を回る。テントに泊まりながら約10キロを踏破し、ザイルや県警ヘリを使った救助訓練、遭難者搬送訓練を行う。

 今回初めて行う携帯電話調査は、通話とメール、衛星利用測位システム(GPS)が山で利用できるかどうかを調べる。ドコモ、au、ソフトバンクの大手3社の携帯電話を使用。頂上や鉄塔など目印になる場所約10カ所で、電波状態や機能の使用状況を調べる。通信データは県警のパソコンに記録し、今後の山岳遭難対策に役立てる。

 県警によると、県内の山岳遭難は2006年に37件(死者2人)、07年1−10月は38件(同3人)あった。

 警察庁などによると、06年の全国の山岳遭難1417件のうち、携帯電話での遭難の届け出は541件(約38%)を占めた。免許が必要な無線による届け出の81件(約6%)を大きく上回った。

 携帯電話での届け出の大半は通話によるものだが、同隊は今回、携帯メールの有効性にも注目する。通話が続かない不安定な電波状態でも連絡が取れる可能性が高く、遭難の場所や状態などの情報が文字に残るという利点がある。またバッテリーの消耗も少なく、より長い間、情報や指示をやりとりできる。

 県警には直接メールで遭難届を受けるシステムはないが、遭難者が家族や友人に知らせ、届け出てもらうことができる。

 真田隊長は「携帯電話の普及とともに、携帯電話による遭難の届け出が大幅に増えている。経験上、頂上で通話できる場所もあるが、正確にどこでつながるのかを調べたい。将来的には、通話可能な場所の情報を山小屋などで提供することができれば」と話している。 (静岡総局・石井宏樹)

 

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