December 02, 2007
ばたばたと師走に突入
先週の連休初日の１１月２３日、雪氷災害調査チームの仲間から上ホロでまた雪崩事故が発生したと第一報が入った。情報が錯綜する中、各方面に連絡して情報を集めると、どうやら大きな事故らしい。
早速調査チームに第一報を入れて、チームの動きを検討する。
現場に入れるメンバーのスケジュールを調整した結果、事故の２日後に調査に入ることにする。
事故翌日に救助隊と一緒に現場に入ったメンバーから状況を聞き、必要な道具をそろえて現場に向かった。
結果的に４名の犠牲者を出した大事故だけに、社会の関心も高く、報道各社が登山口に詰めかけている。
現場に入ってみると、予想していた以上に大きなデブリがあり、数箇所大きな穴が掘られていて、捜索活動の後が生々しく残っている。
途中のコンビニで買ってきたお線香に火をつけ、亡くなった方たちのご冥福を祈ってから調査に入る。
調査チームのメンバーのほかに、地元の遭対協の人たちなども同行してくれたので、調査方針と役割分担、安全管理の注意点などを確認して調査を開始。
ＧＰＳでデブリの範囲を測定するひと、周辺の積雪を調査する人、デブリの雪を調査する人、現場の写真撮影をする人など、人数がいてくれたお陰でスムーズに調査を行う事ができた。
理想的には、雪崩の発生地点の積雪も調査したかったのだが、そこにたどり着くには雪崩の走路近くの急斜面を登らなければならず、当日の視界不良の中では危険と判断して、デブリ周辺の調査に全力を尽くすことにした。
調査結果は近々まとまるので、調査チームのホームページで公開する予定だ。
調査自体はうまく行き、天候にも恵まれて無事終了する事ができたが、その後のマスコミへの対応に苦心した。
調査チームの中での役割は、雪崩現場に積雪調査に入る研究者を安全にサポートすること。
今回の調査のリーダーを引き受けた立場上、マスコミに対応しなければいけなかったが、報道各社がずらりと並んだ会見の場で、憶測や推定で物事を言うわけには行かず、調査でわかった事実のみを話すことに徹した。
ところが、報道側としては、少しでも多くの情報や意見を持ち帰るのが仕事であるので、調査チームの目的以外の部分、事故パーティーの判断面や行動に落ち度はなかったのかとか、あの天候で山に入ることは無謀といえるのかなどといった質問が出てくる。
事故当事者の人たちを直接知らないし、事故当日の天候状況や積雪状況を体験したわけでもないので、自分としては何とも言えないのが事実だ。
情報発信の難しさを実感した数日間でもあった。
個人的な感想は色々とあるが、不用意な発言が事故当事者やその家族、捜索に当たった人たちに与える影響の大きさを思うと、公の場で述べるべきものではない。
事故原因のひとつに人的要因があるのは当たり前なのだが、それは事故当事者が総括すべきものであって、詳細を知らない第三者が言うべきものではないと思っている。
ただ、現場を通過する前にもう少し慎重な判断をしていれば、あるいは全員がビーコンを身につけていれば被害は少なかったのではないかという思いは強い。
山で事故が起こる度に、何ともいたたまれない気持ちになるが、一度起こってしまったことを元に戻すことはできない。残された人や周辺の我々は、その事故から教訓を引き出すことによって次の事故を未然に防ぎ、将来につなげていく事が亡くなった人たちへの最大の供養だといつも思う。
４人の方たちのご冥福をお祈りします。
調査の翌日から３日間、東京に出かけた。
意見交換と営業。成果はあった。
東京での夜は、久しぶりに会う山仲間や先輩と杯を傾け、新しく出会った山の人たちと談笑し、山の歌を歌った。
ちょっと肝臓に疲れを残して帰札。
昨日は、我が山岳部の創立８０周年の記念講演会に顔を出した。
現役学生の１０代の若者から、９０歳の長老まで、８０数名が集まっての講演会と懇親会。
年齢的に４世代もの開きのある人たちが一緒に集まる会合というのはそうそうあるもんじゃないだろう。
昭和初期から平静に至るまで、話題は尽きず、２次会も遅くまで盛り上がった。
楽しいひと時だったなあ。
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