ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン岩手> 記事

遠野に公設助産院が開設

2007年12月02日

写真

遠野市助産院の開設式には、医師や助産師、市の関係者ら約200人が出席した=遠野市の遠野健康福祉の里で

 遠野市が1日、全国でも珍しい公設公営の助産院「ねっと・ゆりかご」を開設した。産科医不足で遠隔地への通院を余儀なくされている妊産婦の精神的、経済的な負担を減らすのが狙いだ。
 市市民医療整備室によると、市では06年度、230人の新生児が誕生した。しかし、02年4月から市内にはお産できる施設がない。妊婦は車で40分〜2時間かけて、隣の釜石市や盛岡市などに通院しなければならず、雪道や長時間の運転に不安の声があがっていた。
 市は昨年10月から、県立釜石病院との間でインターネットを利用した遠隔健診を実施し、開設準備を進めてきた。
 助産院は、市の福祉部署が集まる施設「遠野健康福祉の里」に設けた。助産師1人(08年4月からは2人)が常駐し、県内の9医療機関と連携して、妊婦健診や陣痛の開始時期を見極める母体管理、産後のケアなどを担う。
 産科医がいないため、当面は出産を取り扱わない。だが、妊婦は約14回必要な健診のうち、状態に応じて2〜10回程度を助産院で受けられる。緊急時には助産師が病院まで付き添う。
 この日あった開設式で本田敏秋市長は「医師不足を嘆いてばかりではダメ。遠野を元気な赤ちゃんの声がどんどん聞こえる里にしたい」とあいさつ。同院の主任助産師を務める菊池幸枝さん(39)も「(院は)生まれたばかりの赤ちゃん。頼もしい存在になれるよう丈夫に育てたい」。
 今月15日に第3子の出産を控えた同市の美容師松田恵子さん(36)は「釜石に通うのはつらかった。本当に楽になる」と喜んでいた。

ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る