2007-11-30 離れ離れ
■何も失いたくはないから

「会いたい」
そう幾度も幾度も互いに繰り返し、
なんとなしに放たれた言葉が、私の胸を締め付けるほどの愛おしさに変わる。
あなたは今の状態がいいんだよね…、つまり私が結婚していて、
誰かに養われている状態を認めながら、それでいて愛し合うのはあなただという…。
いいの、一緒にいられる日々がいつまでかわからないけれど、
その日を過ぎても愛しているし、あなたに誰か新しい人が出来ても構わない。
私はあなたと結ばれたいと願うけれど、私たちには年齢やその他の障害があるから。
楽しければそれでいいと言うけれど、いつもそうやって未来に不安を先延ばし。
先にいなくならないでね。
いなくなるかもしれないって知ったら、
私、悲しくて死んでしまうから。
もう何も失うのは嫌なの。
大切なものが突然失われる事は嫌なの。
明日、会ったらどこでする?
私に首輪を買ってくれるの?
何してもいいよ。
一緒にいられる限り、どんなことしたってされたって。
2007-11-24
2007-10-17 夏が終われば秋だった
生き返ったら秋だった。
単調な日常を相変わらず過ごしたまま、
とりあえずこの場では死んだことにしていた。
愛されているだけでは足りないことを知り、
閨でのつかの間の台詞が若い青年の心を傷つけ、
ようやく毛の生えたような子供が「捨てないで」と抱きつく。
そう、結局恋愛ばかりのわが日常は一片も変わることなく、
溺れたり浮かんだり泳いだりしながら生きていた。
死ぬことは怖くないのは今も変わらないけれど、
別に今すぐにわざわざ死ぬことも面倒なことだと怠惰になった。
一つ年をとればとっただけ、きちんと感受性は落ちていく。
誰にも等しく降りかかる老いへゆるりと歩きながら、
いつしかの自分を懐かしく振りかえるためだろうか。
私は恋人はいくらでも若返っていく。
いくらでも愛してくれる。
■

不幸なんていちいちひけらかすものではないし、
他人の考えについて公的な場で直情的に非難するのもみっともないものだ。
そう思いましたね、最近。
通常の常識に照らし合わせれば、道徳から外れたことでも、
それが誰にも迷惑をかけずに私と誰かを幸福にしてくれるなら、
やはりそれは私の生きる世界では正しいことなのだ、とも。
私はせこい人間だから、私の周囲の人間の幸福しか祈らないし、
そのために他人が幾ら不幸になろうとも構わない。
自ら手を下してでも、私は私のわずかな愛する人たちを幸福にしたい、守りたい。
ごめんね、ごめんね…。
大切だった者が泣いている。
私が離れていくと、私が自分だけのものにならないと泣いている。
ああ、私は大切な人を傷つけたのだ。
「たとえあなたにとっては遊びでしかなくても、愛してるから捨てないで」
「こんなゴミみたいな人間だけど、愛してくれるの?」
碇シンジに見えた。
私は綾波レイになるしかない。
あなたも同じことを言っていたね。
でもあなたは私が肯定にしてあげたから、だから…
この子を……
岡本かの子になれればいいのに。
君も君も愛してる。
君に会った次の日には君に会いたい。
その次の日には君と抱き合って、そのまた次の日には君と抱き合いたい。
デウスエクスマキナ。
神様なんて、やっぱりいやしないや。
だから私が頭を振り絞って、君やあなたを幸せにしたいんだ。
私は幸せなのに。
私だけは幸せなのに。
2007-08-14
■本日、購入した本

講談社現代新書の装丁が変わってしまったのが惜しまれる。
私が高校生のときに初めて手に取った講談社現代新書は、
他の出版社と比較してモダンな装丁、
絶妙な字間の取り方、フォントの選択などが非常に良く、
手にとって読みやすく、本棚に並べていて快感だった。
それがこの改悪。
読むと頭が悪くなりそうに見える。
■扇風機

気が狂いそう。
河童は河馬だったのか、馬鹿だったのか。
私には何が何だかわからなくて、ただ、ただ、私がいなくたって
彼は決して泣いたりしないってことだけがわかってる。
何をしたって痩せなくなった。
体形が崩れるとかそういう問題ではなく、
大の字に寝転がっていたら、空から脂肪の塊がくっついたとでもいうような、
おおよそ人間的ではない形になってきている。
私は人間ではなくなった。
どうしたら人間になれるの?
どれほど運動してもどれほど食べるものを減らしても、
日に日にサイズの合う服はクローゼットから消えていく。
今の私は私じゃない!
頭がイライラして、研究したかったことなんかどうでもよくなって、
とりあえずは勉強しなくちゃいけないことを勉強するのだと本を買ってみた。
私はどうしたらいいの?
何をしたらいいの?
「愛されたいだけだし、必要とされたいだけ」
そうメールをしたら
「愛してるし必要だ」
でもそれじゃないの。それだけじゃ足りないの。
何もかも違うのよ、それじゃないの!!
2007-08-13
■missunderstand

あなたの部屋でワインとチキンと音楽を楽しむ日は訪れない予感がする。
あなたは私を不安にさせるだけだから。
私はあなたにとって一番の存在じゃないから。
私がいなくなったとしても少々のセンチメンタルで消化してしまえるでしょう。
だから私は自分が必要としているあなたよりも、
私を必要としている彼のところへ行くことにするの。
その方が私は不安にならず、幸福に浸れるから。
きっと私が文壇デビューする日なんて来ない。
泉鏡花賞も三島由紀夫賞も芥川賞も取れないし、
一冊の本も出せないし、何も出来ない。
だから言ったのでしょう?
「二人が本を出したら一緒になろう」って。
私のエクリチュールすら知らないくせに。
ラブホテルの安いコンドームは痛いって言ったのに。
0.03しか駄目なんだって言ったのに。
痛かった。痛かったけど、あなたが私の名前を呼んでいることの方が重要で、
私はそのことに対して「気持ちいい」と言ったのだった。
私を抱きしめて、私の中で射精しながら、
「これで君は僕のものになるんだよ」
と言ったのはまやかしで、
私たちには0.03ミリ以上の距離がいつだって開いていた。
■星が消えるのは熱すぎたから

抱えきれないほどの愛を抱いて………
あなたは格好良くもないし、スタイルがよいわけでもないし、
いつもヨレヨレのTシャツにサンダルで、
頑張っておしゃれをして、髪型も凝った結い方にしてきた私の拍子を抜く。
あなたのことはきっと写真に撮らない。
33歳の飄々とした男よりも、22歳の初々しい男を撮った方が絵になる。
始めから比べることはなかったのだ。
初めて彼に会ったとき、待ち合わせ場所から別れ際まで、
終始私を見つめていた。私の隣にいた。
そしてどうどうと言い放った。
「君はそりゃもてるよ。だって煩わしいことぬきで遊べるじゃん」
こんな河童みたいな小男になぜそのようなことを言われなければならないのか。
私は涙をこらえながら、22歳の彼の手を握り締めた。
「俺はそんなつもりじゃないから」
その子はそう言ってくれたけれど、考えてみればあのときから私と河童の間には亀裂があったのだ。
「今では僕の世界の中心ですよ」となんでもないように
いけしゃあしゃあとのたまう河童男との生活まで考えてしまった私の負けだったわけ。
♪タシカニ僕ノセイダネ
♪タシカニ君ノセイダネ
これからも時々訪問させてくださいね。
もちろんいつでもお越しください。大歓迎です。