◇89件が1回で見つからず 病院側「処置困難」「医師不在」--04~06年、県調査
県は、県内の14消防本部(局)で04~06年に起きた妊娠女性の救急搬送に関する実態調査をまとめ公表した。県内では、この3年間に5回以上受け入れ先の病院が見つからなかったケースが計3件あったがいずれも母子ともに大事に至らなかったという。
調査は今年8月に大阪府高槻市で起きた救急車と軽乗用車の交通事故で、搬送中の妊娠女性の胎児が死亡したのを受け、消防庁と厚生労働省が今年9~10月に47都道府県で実施した。
県内では、3年間で約31万人の救急搬送があり、そのうち約2200人が妊娠中の女性だった。1回で受け入れ先の病院が見つからなかったのは89件あり、全体の4・81%。このうち3件は5回以上受け入れ先の病院が見つからなかったケースで、いずれも広島市内だった。最も時間がかかったのは06年のケースで、9回目にやっと受け入れ先の病院が見つかり、搬送から89分後のことだったが母子ともに大事には至らなかった。
受け入れ先の病院が見つからない主な理由は、設備や資機材のない場合や手術スタッフが手に負えない「処置困難」や医師の不在だった。
県は今年8月から、受け入れ先の病院が見つからないときに限り、複数の医療機関に一斉に受け入れ要請できる救急搬送支援システムの運用を開始し、少しでも早く病院を見つけられるよう取り組んでいる。
県消防・保安室は「全国と比較してとりわけ悪い状況ではない。しかし、受け入れ先の病院を5回以上見つけられないケースが3件あり、できるだけ短時間で救急搬送できるよう取り組まなければならない」と話した。【下原知広】
毎日新聞 2007年12月1日