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■納税貯蓄組合 揺れる河南
2007.11.30
加入者の口座振り替え来春撤廃へ
「合併で一変、残念」/
 石巻市は経費節減などを理由に、二〇〇八年四月一日から納税貯蓄組合加入者の口座振り替えを認めない措置を市全域で統一することから、組合の多くが口座振り替えを利用している河南地区の関係者から不満の声が上がっている。二十七日には地区内で説明会があり、市は口座振り替えができなくなる理由を説明し、組合の方向性も示した。しかし、納得する人は少なく「組合を解体するつもりか」と憤る組合長も。合併後の制度見直しにより、納税思想の普及や徴収率の向上に努めてきた組合が存続の危機に立たされている。

 組合員の口座振り替えができなくなる理由について、市納税課は「河南地区の場合、組合事務補助金と口座振り替え手数料で二重に経費がかかっている」とし、従来通り継続するには「関連する電算システムの改修に七千万−一億円の経費がかかる」と説明する。

 河南農村環境改善センターであった説明会には、組合長ら約百人が出席。市納税課の佐藤久課長が、組合の事務補助金の統合について説明し、約一時間にわたって質疑を交わした。

 今回の措置に対し、各組合からは「組合の存在理由がなくなったのか」「何から何まで口座振り替えを使う時代なのに、市のやり方はそれに逆行している」「納税思想の普及も推進してきた。解散する組合が増えたらどう対処するのか」といった厳しい指摘が相次いだ。

 同地区では、百二十九の組合のうち七割近くが口座振り替えを利用し、国民健康保険税、軽自動車税、固定資産税、市・県民税などを納めている。市は〇七年度の事務補助金分として三百十六万八千六百円を支出し、そのほかに口座振込手数料(一件当たり七・五−十円)も負担している。

 一方、河南地区を除く旧一市五町は合併後、組合加入者の口座振り替えをやめた。この結果、牡鹿地区では組合がすべて解散し、ほかの地区でも組合から脱会し、個人で口座振り替えをする人が増える傾向にある。

 市納税課は、組合の方向性として、(1)口座振り替えをやめて組合を継続する(2)口座振り替えをしない人たちだけで組合を再編する(3)ほかの組合と合併する(4)組合を解散し口座振り替えに移行する−といった例を示している。

 石巻市納税貯蓄組合連合会河南支部の阿部真寿会長は「事態は深刻だ」と受け止め、「各組合が今後の方向を決めるが、河南支部の存続に影響が出てくるだろう。旧町は、組合による口座振り替えを推進してきたが、合併後に方向が一変するのは、とても残念」と話している。

 組合加入者の口座振り替えを認めない措置に加え、組合員の高齢化、税に関する個人情報の取り扱いといった問題もあり、石巻市全体では、今年三月末で六百八十八あった組合は、十月末には四十九少ない六百三十九に減少した。
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