新橋に眠る幻のホーム公開 地下鉄銀座線で戦前に使用2007年12月01日13時04分 国内最古の地下鉄である東京メトロ銀座線には、戦前に造られたものの、その後使われなくなった「幻のホーム」が三つある。その一つ、新橋駅で8カ月間だけ使われたホームが1日、公開された。このホームは地下鉄会社の計画が思惑通りに運ばなかったため、ほとんど人々の目に触れることなく残された。
幻のホームは新橋駅のコンコースから扉1枚を隔てたところにある。一部が東京メトロの会議室や清掃用具置き場などとして使われているが、関係者以外は入れない。 長さは3車両が止まれるだけの約50メートル。「新橋」とタイルで右書きされた表示と、ホーム端の白線以外、駅の面影はない。公開はこの日限りで約3千通の応募があった。選ばれた150人は旧型車両を模した車両から、殺風景な空間を眺めた。 東京都港区の小学1年生、森山遼一朗君(6)は「何もなくてちょっと怖い。でも昔は駅だったんだね」。父弘之さん(38)は「新橋駅が二つあったのは知らなかった」と話した。 国内初の地下鉄は、「東京地下鉄道」が1927(昭和2)年、上野―浅草間で開業。7年後の34年に新橋まで延伸させた際に建設されたのが現在の駅だ。 幻のホームがある駅は39年1月、渋谷方面から路線を延ばしてきた「東京高速鉄道」が造った。同社は浅草などへの直通運転を熱望し、鉄道省や東京市の仲介で同年9月に実現したが、それまでの8カ月間、自前の駅を使った。 同社があえて自前の駅を建設したのは、新宿から赤坂見附を通って新橋に至る「新宿線」の駅として利用する計画があったためだ。だが、戦争の激化で44年に頓挫。新宿―赤坂見附間は59年、丸ノ内線として日の目をみたが、新橋を通らなかったため、この駅は人知れず放置された。 このほかの幻のホームは、表参道駅が「青山六丁目」「神宮前」と呼ばれた時代のホーム。表参道駅が76年、外苑前駅側に120メートル移転したため使われなくなった。 もう一つは「万世橋駅」。末広町―神田間に30年に造られたが、仮駅だったため翌年までしか使用されなかった。 東京メトロは「新橋のホームは今後も公開することがあるだろうが、旧表参道駅と万世橋駅は公開に耐えられない。このまま残っていくだけでしょう」としている。 PR情報社会
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