「議論深め導入見送りを」 弁護士、仙台で反対集会
 | 多くの市民が訪れ、関心の高さをうかがわせた裁判員制度への反対集会=30日夜、仙台市青葉区の仙台弁護士会館 |
|
2009年度に始まる裁判員制度に異論を唱える東北の弁護士有志が30日、制度の導入見送りを訴える市民集会「裁判員制度の正体は?」を仙台市青葉区の仙台弁護士会館で開いた。地方の弁護士らが裁判員制度の反対集会を開くのは異例で、東北・関東の弁護士や市民ら約130人が制度の問題点を考えた。
東北の弁護士約30人でつくる「裁判員制度に反対する在仙弁護士の会」の主催。評議での多数決の問題点などをテーマにした劇「美しい国の裁判員時代」のビデオを上映した後、元裁判官の西野喜一新潟大大学院教授が「裁判員制度の正体」と題して講演した。
西野氏は「裁判員制度は、国民が裁判への参加(参審)を望んでいるかや公判回数の抑制による粗雑審理の恐れなど、大事な問題が審議されずに成立した」と指摘。
「制度は『違憲のデパート』で、特に思想・良心の自由を侵害する。検察官や被告・弁護人だけでなく、国民全体にしわ寄せが来る。現行の司法制度の中で改善すべき点は多く、まずそこから始めるべきだ」と強調した。
会は今後、東北弁護士会連合会に対する制度反対の決議案提出や国会への請願署名集めなどの活動を展開する。世話人の一人、織田信夫弁護士は「賛成、反対にかかわらず、国民が制度への関心を高め、十分に議論することが必要だ」と話した。