西胆振の行政、救急担当病院、消防などの機関が救急・周産期医療について話し合う西胆振医療圏関係者会議の第2回会議が30日、室蘭市東町の市防災センターで開かれた。日鋼記念病院の診療科縮小、救命救急センターの機能停止により、救急搬送の負担が他医療機関に拡大している状況について「各病院の情報開示」や「時間外診療・救急車の適正利用」などの方策が提案された。
2次救急を担当する市立室蘭総合病院、日鋼記念病院、新日鉄室蘭総合病院、大川原脳神経外科病院、登別厚生年金病院、伊達赤十字病院、協会洞爺病院の7病院事務長、室蘭、登別、西胆振消防事務組合の3消防長が出席した。
3消防本部は、平成19年4―10月期の救急搬送人員(転院搬送含む全搬送)が、18年同期と比べ全体で191人減少し、日鋼病院へが490人減少したのに対し、市立病院は212人増、大川原病院は113人増、伊達赤十字病院は66人増と集中傾向にあるデータを示した。
市立病院は日鋼病院の診療機能低下に伴い、ここ半年間で外来、入院患者が増大。一般病床はほぼ満床に近く、ICUの使用も急増。紹介患者の受け入れは10、11月、日鋼病院が新患受け入れを停止した各分野で4
100件を超過。時間外診療も多発外傷患者を含め重症患者の受け入れが激増。
「病床が足りず救急の受け入れがもうできない状況。辞めたいという医師も出てきている。医療従事者の勤務は極限にきており、これからの年末年始が不安」と実情を報告した。
会議では、救急の搬送先が本人あるいは家族の希望によるものが全体の6、7割を占めることから、救急搬送の分散化方策として「病院側の受け入れられる診療体制を住民と消防に向け情報開示することが必要」との意見が出された。
また、市民の時間外診療や救急車の利用について「夜の方が都合良いからと24時間営業のコンビニ的利用」「軽い病気やけがでのタクシー代わりの利用」など緊急性のない場面での利用が指摘され、「適正使用を緊急にアピールすべき」などの提案も出された。
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