日本とEU諸国とのこの違いは(日本はフリーターが無権利状態であるのに対してEU諸国ではフリーターの地位は恵まれている・訳者)何故生まれたのでしょうか。私見によれば、EU諸国は現在が労働市場が必然的に流動化する(頻繁に仕事を変わる、副業、短期雇用)脱工業化の時代であることを理解し、それに基づいて社会保障政策を改革していきました。他方日本は、無残なまでにこの大きな変化の意味を理解することができませんでした。そして自由民主党という、工業化の時代の政党がいまだに権力の座に居座っています。国家のこの化石化の結果、年長の世代のみが高度経済成長期の遺産の恩恵に浴するという状況が生じたのです。日本は脱工業化の社会へと変容することができませんでした。この国が経済を成長させ、競争力を高めるという哲学しかもちあわせていない中央省庁によって統制されてきたからです。私は若い世代が現在の窮境から近い将来解放される可能性は低いと考えています。この国は、若い人たちが社会保障政策の変革を求めてフランス式の街頭での怒りに満ちた暴動を続ければ、まず間違いなく真剣に反応することでしょう。若者たちよ!戦争に憧れることなかれ。そうではなくて内戦を始めるのだ。
これは前回のエントリーに対してひろのさんが寄せられたコメントの翻訳である。ひろのさんには、もう翻訳はしてくれるな、といわれた。しかし世代間不平等の原因をめぐるこの本質的な問題提起が、英語を読むことを苦にしない人にしか読まれないのではあまりにももったいないと思った。とくに若い世代の方には是非読んでよく考えてもらいたい。
世代間不平等を生じさせた原因を、ひろのさんは日本が工業化の時代のしくみを全然変えていないことに求めている。経済の構造は必然的に不正規雇用を増やしていくのだから、「正社員」のみが厚遇される高度経済成長期以来のしくみを変えないのであれば、若い世代が排除されていくのは道理である。
「内戦をはじめるのだ」ということばは剣呑な印象を与えるかもしれない。しかし日本の若者の大人しさも、若者の置かれた状況が一向に改善されない一つの原因だと思う。いまの日本の若者の置かれた状況はひどい。自分の国なら若者たちの暴動が頻発してもまったく不思議のない状況だ。私は複数の海外の識者からこのことばを聞かされている。
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