その日、レオナは予感していた。
何か大きな出来事が起こる事を。
そしてそれが、良くも悪くも彼女の苦しみを大きく揺るがすであろう事を・・・・・・。
「ひっ、姫様!」
「レオナ!」
「姫さん!」
「レオナ様!」
「レオナ姫ぇ!」
パプニカ王国における膨大な公務が終わり、
王座でほっと一息ついていた時、
次々と彼女の耳に入って来た懐かしい声。
目の前には大きな両開きの扉いっぱいに懐かしい顔がそろっていた。
ポップ、マァム、メルル。ヒュンケル、ラーハルト、エイミ。
チウ、クロコダイン、ヒム、新百獣魔団のみんな。
みんな、みんな・・・・・ダイを探しに旅立った仲間たちだ。
ポップが咳き込んで、何かを言おうとしている。
レオナがあっけにとられている前で、みんなが口々に何かを言おうとしている。
何なんだろう。何か、きっと、ダイ君に関する重大な情報があったんだ!
「もう、何よ!そんなに叫ばれてもワケわかんないんだから、順番にしゃべりなさい!」
「あのね、レオナ」
落ち着いて話しだしたのは、マァムだった。
「魔界につながっている可能性が高い穴を、チウが見つけたの」
「まっ、正確には、僕とその忠実なる部下なんですけどね!」
得意そうに尻尾を振るチウと、広間いっぱいに得意げに羽を広げるガルーダ。
「その穴がな、なんと、でっかいドラゴンの紋章の形に開いてるんだってよ!」
こらえきれずに話し出すポップ。
「しかもだぜぇ! その穴のある場所ってのが・・・・・・なんとデルムリン島なんだ!」
デルムリン島!
レオナの記憶が鮮やかに蘇る。
ダイ君との思い出が詰まっているデルムリン島。
大サソリに襲われたっけ、そうそう、ニセ勇者から必死で守ってくれたっけ・・・・・・。
「つまり、ダイ君がその穴を開けて、魔界に行ったかもしれないって事?」
「さっすが姫さん! 話が早い!」
「・・・・・・とにかく、事の真偽を確かめなければならないわ。
パプニカ王家の改良型気球なら一時間ほどで着くから、チウ君、道案内をお願い」
「ルーラで行って、俺のトベルーラで確認した方が早いんじゃねえの?」
「本当に魔界への穴なら大変よ。うちの学者も何人か連れて行って、上からゆっくりと検証させたいの」
「わかった。じゃ、俺らは先に行ってるから」
はやる気持ちを抑えて、レオナは気球と、
世界が平和になってから設立した魔界研究所所長の同行の手配を命じた。
ダイ君。本当に・・・・・・生きているんだね?
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