『ひさしぶり・・・…かな? きっと、この手紙を読むのは、俺の知り合いな気がする。
ポップかな?レオナかな?マァムかな?ヒュンケルかな? 意外なところでチウだったりしてな。
心配させてごめん。俺、ダイは、元気でやってるよ。
なんで俺がここにいるかを、書いておきたいんだ。
あの後、俺は天界に行ったんだ。そしてそこから、いろんなものを見た。
平和になった地上も見たし、正気に戻った魔物も見た。
でも、まだ暗い部分があったんだ。それが、魔界だった。
そこを見たとき、なぜかなつかしかったんだ。そして、いたたまれなくなった。
やっぱり俺は竜の騎士なんだなって思ったよ。
そしたら、竜の紋章が勝手に発動して、ここにいた。
この暗い世界を見た時、バーンの気持ちがわかったよ。
太陽が欲しい。そう考えるのは、当たり前だったんだ。
それから俺は、魔界をできるだけ冒険した。
地上へ戻る方法を探す目的もあったんだけど
なによりここを放っておけなかったんだ。
そして俺は、思いついた。
もう一つ、魔界のための太陽を造れないかって、ね。
だから、俺は当分地上には戻れないと思う。
もしこれを読んだ人が地上に行くことがあれば、
パプニカ王国のレオナって人に、ごめんな、って伝えて欲しい。
ものすごく気が強くて、怖くて、しっかりしていて、
きれいな人だから、すぐわかると思う。よろしく』
この内容が書かれた石碑を、クロコダイン、ラーハルト、ヒムの三人は、
地上から落ちたすぐ先の丘で見つけた。魔文字で書かれたそれを読み上げるラーハルトの
瞳にはみるみる涙が溜まり、クロコダインは思わず石碑を両手でつかんでしまうほどの喜びようだった。
「ダイっ!生きておったか!」
「ダイ様・・・・・・!」
感涙にむせぶ二人の横で、ヒムは魔界の空を見上げる。
(太陽、か・・・)
ヒムは考える。平和。それはとても楽しく、おもしろく、何よりも平穏であることは間違いない。
けれど彼はどこか、引っかかっていた。
(赤黒い魔界の空の色ってのは、ハドラー様の皮膚や瞳を思い出させるな。
・・・…試したいのだ。自分がどこまで到達できるのか、・・・・・・か。
ハドラー様が目標となさったアバンもダイも、俺の目標だったヒュンケルも、
平和って中じゃ、乗り越えることもできやしねぇ。
このまがまがしい空気の中なら・・・…。いや、やめておこう。
チウ和尚も、獣王遊撃隊のみんなも、ダイの帰りをまってるんだ)
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