『年末までに俺を殺してくれ』

そう言われた時、酷く心が踊ったのが　わかった。
それが、アイツを世界にたった独り取り残していく俺の、当然の務めだと思った。
それが、俺からアイツに与えられる、最後の愛情だと　思った。

どうせ裏切り続けることしか出来ないのなら
死ぬより辛い思いをさせるよりは　いっそ　殺して楽にさせてやりたい。

どうせ罪の意識を抱え続けるのなら
いっそ　殺してしまいたい。

流れ流され辿り着く場所は何処？

暗闇の中ゆらゆらと波に揺られて
向かう先は視えない。
灯台の灯りなんてとっくの昔に見失った。

何処に行く

闇に向かう道しかない中でぶつかった岐路
選択権はあるようでなかった。
舵はもう壊れていたから

身を任せた先に光は無いと気付いてる。
だからといってもう引き返せない。
方向変えたところで、待つのは闇。
道を間違えたのは　もう遠い過去の話…

間違えた道のりの中で間違えた選択をして
ただ強い流れに呑まれて

何処に行く…　
どこまで行くんだ…　

人間はいったい何重に物事を捕え、感じ取っているのだろうか。
良心が忠告すると同時に、本能が興奮していて、また同時に理性が損得勘定していたり
思考も感情も幾重にも及んで、どれが本音なんて判らない。

人間の思考なんて本当はすごく混同しがちで、曖昧で
これが真実なんて言っても、実は誤った自己解釈かもしれない。
真相はいつも結果の後付け。

　　*　　*　　*

顔を思い出して、胸が締め付けられて　その感情を噛み締めた…
その時　自分の中から声がした。

『　罪悪感を恋心にすり替えていないか？』







真相は判らない。
でも否定したい。
この想いは真実だと信じたい。

畳み掛けるように声がする。
『　切り捨てるモノの重さを想いの深さとしてないか？』


……そんなことは無い。と言いたい。

本当は
最初からずっとお前のことが憎かった。

……そう言ってしまえれば どんなに楽だろうか。

切り捨てたい。煩わしいもの全て
その腸切り裂いて殺したい。

お前に存在価値なんざねぇよ　と言って

生きてたってただ邪魔になるだけのゴミなんだから
そんな生命体は滅すればいい。死ねばいい。
その方が世の為になるさ。誰にも必要とされちゃいねぇ。喜ぶ奴のが多いだろ？


でも　そんな事をぬかす俺も、存在価値のないゴミのひとつに過ぎないんだろ。
わかってるさ。デメリットしか振りまかねぇ。
消えた方が世の為だ。助かる奴の方が数多い。
ただ屍を作るだけ


この生に何の価値もありゃしねぇのに
それでも生き続けるのか

今日も、また…　　ただ１人の為だけに。

どんな痛みも　お前を失くす痛みには敵わない。

例え認められなくとも
おかしいと人に言われようと

突き進む他に何ができるというのだろう？

例え世界がどうなろうとも、この想いは棄てない。

現状がどれだけ厳しくなっても、この想いを無くす方が　　地獄。


俺は、戦う。

冷静になって何度やりとりを思い返して頭捻っても
俺達が別れなきゃなんねぇ理由なんて見つからねーんだよ。

数ヶ月の仲より、共にした時間が長い奴を
遠距離より、すぐに会いに行ける距離の奴を
まぁ、正論さ。

だけど、長い年月の中でその仲が行き詰まってしまったのなら
閉塞感を感じているのなら
新たな関係に飛び込むべきである というのも正論だろう？

浮気、不倫を肯定する考え方？まぁそうさ。
でもそれらが正しい瞬間は、この世界には確かにある。

変化は必要だ。

帰り道に撮影。　夕日写真…　恒例化しそう（笑

理由なんかなくて
理屈なんか通じなくて

ただここにあるのは 衝動ひとつ。

・・・わかっちゃいるさ。

お前さえ側にいてくれるなら　　なにを失ったって 　よかった。

お前と俺の妨げになる奴は　本気で 殺せた。


本気で　殺す気 　だったんだ。

一番の願いはそれでも叶わないと知っても