糖化行程について。
- 麦芽の粉砕と破砕について
- 粉砕とは製粉すること。
- 破砕とは麦芽の粒をいくつかに砕くこと。
- ビール造りでは、粉砕をすると殻までが粉々になるので、粉砕はしない。
- 麦芽の殻は後に醪を麦汁とカスに分けるときにフィルターの役目を果たす。
- ビール造りでは麦芽を破砕する。
- 麦芽の破砕について。
- ローラーで麦芽を押しつぶす。
- 麦芽の殻はそのままで、中身だけが砕ける。
- ローラータイプの破砕では、一つのローラーがモーターで回り、対となるローラーはfreeとなっている。
- 2つのローラーに微妙な速度差が生じ、麦芽は押しつぶされるように破砕する。
- 2ローラータイプと4ローラータイプがある。
- 4ローラータイプは2ローラーが二つある。
- 糖化のことを考えると、4ローラーの方が良い。
- 糖化行程─英語ではマッシング、ドイツ語ではマイッシュ
- デンプンを発酵性の糖と非発酵性の糖とに分解すること。
- 糖化により6種類の糖分が出来る。
- マルトース(麦芽糖)─2糖類 ───────
46〜50%
- マルトトリオース(麦芽三単糖)─3糖類 ──
12〜18%
- グルコース(ブドウ糖)─単糖類 ──────
8〜10%
- スクロース(しょ糖)─2糖類 ───────
4〜8%
- フルクトース(果糖)─単糖類 ───────
1〜2%
- デキストリン(アミノペクチン)─多糖類 ──
19〜23%
- 発酵可能な糖はマルトース、マルトトリオース、グルコース、スクロース、フルクトース。
- デキストリンは非発酵性の糖で甘みとしてビールに残りビールのボディになる。
- デキストリンが多いビールはフルボディで甘いビール。
- デキストリンが少ないビールはライトボディで水っぽいびーる。
- デキストリンの量をどうコントロールするかはビールのスタイルによる。
- αアミラーゼとβアミラーゼについて。
- デンプンはグルコースが1-4 結合、1-6
結合で結合した高分子化合物。
- βアミラーゼについて。
- βアミラーゼは1-4
結合を端から分解して、グルコース、マルトース、マルトトリオースに分解する。
- PH5.4から5.6で、温度が57から66℃で最も活性が良くなる。
- αアミラーゼについて。
- αアミラーゼは1-6
結合を分解して、麦芽のデンプンをデキストリンに変える。
- PH5.6から5.8で、温度が65から70℃で最も活性が良くなる。
- デキストリンが多くなり、ミディアムからフルボディのビールが出来る。
- 糖化の温度コントロールについて。

- 60℃で糖化をしたとき、デキストリンの割合が少なくライトボディのビールが出来る。
- 70℃で糖化をしたとき、デキストリンの割合が多くフルボディのビールが出来る。
- 醪(マッシュ液)のPHとアミラーゼ活性について。

- マッシュ液のPHが高いとアミラーゼ活性が悪くなる。
- マッシュ液のPH5.2が一番理想的な状態。
- 少なくともPH5.6以下にする。
- バーバリア地方の水は硬水で、炭酸塩が多い。
- すなわち、アルカリ度が高くアミラーゼ活性が阻害される水を使っている。
- イギリスのバートンオントレッド地方の水は、硫酸塩が多い。
- 醪(マッシュ液)の濃度と糖化について。
- 以上より、ライトボディのビールを造りたいときは、
- マッシュ液の濃度:水/麦芽=2.5(l/Kg)にする。
- 糖化温度を60℃にする。
- マッシュ液のPHを5.2にする。
- ボディについての考え。
- 標準的な麦汁を75%発酵させる(希薄化)酵母でビールを仕込んだとする。
- 麦汁の初期比重(OG)が1.052とする。
- 最終比重(FG)は1.013となる。
- (OG-FG)*131.9 がアルコール容量濃度となる。
- (1.052-1.013)*131.9=5.1%
- 麦芽の量を増やす。
- OGが1.062とする。
- 75%発酵の酵母で仕込む。
- FGは1.0155 となる。
- (1.062-1.0155)*131.9=6.13%
- 初期比重の高い麦汁でビールを仕込むと、
- アルコール濃度は高くなり、
- ビールの残存糖が多くなり、フルボディのビールになる。
- アルコール濃度よりビールのボディを判断することが出来る。
- アルコール濃度:6%以上のビール→ミディアムボディ
- アルコール濃度:7%以上のビール→フルボディ
- ボディを構成する要素
- Kgパーリッター度(゜L/Kg)について。
- 麦芽を購入して、データーを見る。
- たとえば、ピルスナーモルト 270 1.5 SRM
と書いてあったとする。
- この270とは、Kgパーリッター度といい、麦芽 1Kg
で1.001の比重の麦汁が270
リットル出来ることを意味する。
- このピルスナーモルトを使って、初期比重1.052の麦汁を1000リットル作るには、
- 初期比重1.052、1000リットルの麦汁を1.001に換算すると、52000リットルになる。
- ピルスナーモルト1Kgは比重1.001の麦汁 270
リットルになる。
- 52000÷270=192.6 Kg(答え)
- すなわち、 192.6 Kg
のモルトを使うと、比重1.001の麦汁が52000リットルでき、比重
1.052 に換算すると1000リットルになる。
糖化行程(インフュジョンマッシュとデコクションマッシュ)について。
- インフュジョンとデコクションとがある。
- インフュジョンとは、
- たとえば、お茶を飲むときに、「きゅうす」にお茶の葉とお湯を入れてのむ。
- 浸す、という意味。
- デコクションとは、
- たとえば、麦茶を作るときには、「やかん」に麦茶の麦を入れて湧かす(煮る)。
- 煮立てる、これがデコクションの意味。
- インフュジョン・マッシング
- single infusion mash
- マッシュ液の温度を変えない。
- 66から67℃で糖化を始めて64℃で終了。
- イギリスで多く仕込まれている。
- タンパク質の多い麦芽は使えない。
- スペースが少なくてすむ。
- 仕込み時間も短い。
- two step infusion mash
- 50℃でタンパク分解。
- 67℃で糖化し64℃で終了。
- タンパク質が多いドイツ系麦芽は、タンパクが糖化の妨げになるので、タンパク分解を行う。
- ドイツでも、デコクションよりtwo step infusion
mashが多くなってきている。
- デコクション・マッシング
- マッシュ液の温度を上げるために、マッシュ液の一部を取りだし煮沸(デコクション)して元のマッシュ液に戻す。
- 特に南ドイツの水は炭酸塩が多く、PHが高い。
- 35℃でマッシングをするAcid restがある。
- 30分間35℃でマッシュ液を保つ。
- マッシュ液のPHを下げることにより、後の糖化行程がスムーズに行くようにする。
- また、βグルカンの多く含む麦芽では、40℃で20から30分間、そのままにする。
- βグルカンはその温度で最も分解される。
- βグルカンの分解酵素であるβグルカナーゼは40℃で最も活性が良い。
- βグルカンはロータリングに時に目詰まりの原因となる。
- マッシュ液の酸度を下げるために、水質調整剤があり、最近では、それを使っているところもある。
- 2度目のデコクションでマッシュ液の焦げつぎが起こりやすい。
- マッシュ液の色が濃くなる。
- デコクション中に酸化メラノイジンが出来やすい。
- デコクションマッシングは3から4時間かかる。時間がかかる。