看護師の過重労働 深刻/県立6病院調査
専門家「支援職増が必要」
県立病院に勤務する看護師の業務は、血圧測定など基本的業務の多忙さに加え、患者の排せつや食事介助など看護師以外でもできる業務に時間をとられていることが県病院事業局の労使でつくる看護業務改善委員会の実態調査で二十九日、分かった。看護師不足に陥る県立病院で、過重労働の実態を調べた。専門家は「看護師の定員増や後方支援する職種の増加など抜本的な対策が必要」と分析している。(黒島美奈子)
調査は今年七月、県立六病院の看護師約千五百人を対象に実施。日勤(午前八時―午後四時四十五分)、準夜勤(午後四時―午前零時四十五分)、深夜勤(午前零時―午前八時四十五分)の勤務時間を十分単位に区分、五十六の業務内容ごとに携わった時間を累計した。
時間のかかる業務内容の上位は血圧チェックなどの「測定」、治療経過を記録する「看護記録」や「呼吸・循環管理」、患者の情報などを報告する「申し送り」などの基本的な業務が占めた。一方で、「排せつ介助」「食事介助」「与薬」など、看護師以外でも対応できる業務にも相当の時間がかかっている。
基本業務の多さについて委員長の上地悦子県立病院看護企画監は「県立病院で重症患者の受け入れが多いため」と説明。そのほかの業務では「特に日勤に比べ人数が少ない夜勤で、日常生活支援など人手が必要な業務に時間がかかっている」とし、「看護師を支援する職種への業務委譲の可能性について検討が必要」と述べた。
多忙さが残業につながっている実態も明らかになった。看護師の多くは勤務時間帯を超過して「看護記録」を記入。準夜勤の看護師が、記入に午前四時までかかっている事例もあった。
上地企画監は「勤務時間内の業務のしわ寄せが退社時間にきている。退社間近の看護記録記入は疲れではかどらず、退社時間を延ばす悪循環になっているのでは」と憂慮。看護記録の在り方を見直す必要性を示唆した。
回答した看護師からは「緊急時以外の検査は、看護師の人数が多い日勤にオーダーするなど医師の理解も必要」「子どもをあやすボランティアの活用も」など、人手や業務整理を求める声が上がった。
県看護協会の福盛久子専務は「県立病院の入院日数短縮化や医療の高度化などで患者の重症度が増し、看護業務の過重に直結している。看護師の絶対数が足りない」と指摘。「患者の安心、安全を確保する上でも働きやすい職場づくりは重要。業務と人員配置の見直しが必要だ」と求めた。
同委員会は調査結果を基に年内に中間報告をとりまとめ、各県立病院へ配布する方針。