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防ごう「乳幼児揺さぶられ症候群」泣きやまない赤ちゃんにいらだち、つい体を強く揺さぶってしまう。それが原因で脳を損傷し死亡することもある「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS=シェークン・ベビー・シンドローム)」。専門家は「SBSは深刻な児童虐待。育児に疲れ果てた親が加害者になる危険がある」と指摘。イライラを感じたら親しい人に電話をするなどして、気分転換をすることが大切だ。 脳の損傷で致死もSBSは、首が据わっていないなど、首の筋肉が未発達な乳幼児の体を何度も強く揺さぶることで、脳が頭蓋(ずがい)骨内側にぶつかり損傷する。発達の遅れなどの後遺症や死に至ることもある。 国立成育医療センター(東京)小児期診療科医師の有瀧(ありたき)健太郎さんによると、米国では年間1000人以上の乳幼児がSBSで死亡している。国内に正確な統計はないが、同センターだけでも年に数件の症例が認められ、死亡するケースもある。 SBSの被害者の多くは6か月未満の乳児だが、5歳くらいまでの報告がある。泣きやまないことに親がいらだち、腹を立てることが引き金になることが多いという。「育児の孤立化が問題になる中、誰でもSBSの加害者になる危険がある。だが、赤ちゃんを強く揺さぶることの危険性と、赤ちゃんはみんな泣くということを認識できれば、泣かれてつい衝動的にという虐待は防げる」と有瀧さん。 未然防止に向けた取り組みも広がっている。母子手帳にも2002年度から、SBSへの注意を呼びかける内容が記載されている。 神奈川県と伊勢原市は昨年9月から、同市内の東海大学医学部付属病院と伊勢原協同病院の協力を得て、SBS予防プログラムを始めた。 出産後、退院間近の母親と父親に参加を呼びかけ、昨年は12月までの4か月間で、286人が受講した。プログラムは1回約30分、1〜3組程度を対象に行う。激しく泣き続ける赤ちゃんの声をテープで数分間聞き、その時の自分の感情を確認し、対処法などを話し合う。人形を使って、赤ちゃんの首の不安定さや、危険な揺さぶりの程度なども体験する。 東海大病院でプログラムを担当する助産師の小田しおりさんは「赤ちゃんが泣きやまないでイライラしたら、ちょっと一休みしてほしい。深呼吸をして10を数えたり、赤ちゃんを安全な場所に置き、少し離れてみるのもいい。心を落ち着かせるために音楽を聴いたり、親しい人に電話をするのもいい」と助言する。 また、乱暴なあやし方でSBSになることもある。東京都立墨東病院小児科医の伊藤昌弘さんによると、首が据わっていない赤ちゃんを空中に投げて受け止めたり、2秒間に頭を5〜6回揺するようなあやし方などは危険だ。 しかし、「高い高い」とゆっくり上に持ち上げたり、腕に抱いてやさしく左右に揺するなど、通常のあやし方なら全く問題はないという。むしろ、親子のスキンシップはとても大切。伊藤さんは「何事も程度の問題。常識の範囲で考えて」と話している。 (2007年11月30日 読売新聞)
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