妊婦の搬送に迅速な対応が求められている中、東京都はこのほど、「総合周産期母子医療センター」の指定を受けた8民間病院を対象に、妊婦の症状やベッドの空き状況など搬送先の調整を担当する医師の配置を促す方針を出した。年明けに来年度予算で承認されれば、こうした調整役への人件費助成制度を開始する。 奈良県の妊婦が度重なる受け入れ拒否で救急搬送中に死産するなど、妊婦の救急体制が万全といえない背景には、単にどこも満床ということだけでなく、妊婦の状態に応じて医療機関に適切な振り分けが行えていない現状がある。
都が創設する制度は、搬送先の調整役を担う医師を8つの総合周産期母子医療センターが配置することを助成し、現在有する医療資源の最大限の活用を目指すもの。医師は救急隊員などから受けた情報をもとに、「地域周産期母子医療センター」や地域の救急病院の医師と連絡を取り合い、症状によって自施設での受け入れを行う。
このように専門の人材が調整を担う取り組みは、事件が起きた奈良県の検討委員会が県立医大病院での実施の必要性を報告、また大阪府では既に開始されているなど、今後各自治体に広まっていく見込み。
総務省消防庁が今年10月に発表した調査結果では、昨年都内で産科や周産期病院に救急搬送された4,197件のうち、救急車が現場到着から医療機関に出発するまでに30分以上かかったのが329件。また、5回以上受入を断られたのは91件に上った。
更新:2007/11/30 キャリアブレイン
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