早朝、足を延ばして然程遠くないお寺に行った。
近所では、唯一秋の風情を見せてくれていた銀杏も、葉を落とし、黄色の絨毯も綺麗に掃き清められていた。残念。
ここの御住職は、私とタメだ。同い年・・。
朝のおつとめの時に、あまりの声の良さに聞きほれて、どんな御住職か?と期待大だったが、ここでも
天は二物を与えなかったようだ・・。
私の実家のお世話になっているお寺さんの息子さんは、音大の声楽科卒だ。
お父様の御住職も「中条きよし」ばりのハンサムさんだったが、息子さんの前ではかすんで見えた。
しかし、お父様と御子息と、もうお一人のお坊さんとの読経のハーモニーが見事で、世界3大テノールのコンサートに負けじ劣らじの芸術に聞こえた。
母も満足だったと思う。
そんな、母の葬儀の時を思い出したという事は、墓参りをせよ!という思し召しなのだろう。
もう、師走だし行かないといけないなあ・・。
と、ふらふらとお散歩していたら、時々コーヒーを飲みに立ち寄る店の奥様が、掃除を終え店内の空気を入れ替えるために、扉を全開にしていた。
「お茶を一緒に」と誘っていただき、モーニングコーヒーを店先で白い息を吐きながら頂いた。
ルーキーはパンを貰ってご機嫌だ。
互いにスッピンを晒し、ああだ、こうだと世間話をしている時に、陽が差して来て、小山の紅葉を照らして絵葉書の様に美しい一瞬があった。
こんな時に限って持ち歩く携帯を忘れてきた。
御店の奥様は、慌てて自分の携帯を取り出したが、猫に小判だった・・・。使い方わからず。
私も、人のものは分からない・・。
でも互いに、「朝からきれいな物が見られて良かったねー、男性ではなかったのが残念だけど」と慰め合って帰って来た。
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