秋篠宮さま、紀子さま会見全文〈3〉2007年11月30日06時06分 【宮内記者会代表質問】 (問3)公務や子育てで多忙な毎日をお過ごしの中で、先月には、妃殿下が翻訳・構成に携わられた絵本が出版されました。 (1)殿下にお伺いします。公務をはじめとする様々な活動と家庭を両立される妃殿下に対して、殿下はどのようなことを気遣われていらっしゃいますでしょうか。 (殿下)そうですね。私は自分では気遣っている、自分ではつもりなんですけれどもね。なかなかそれを表現するのが上手でないところがあって、少し悪いなというふうに思うことも・・・。 (妃殿下)伝わっております〈微笑みながら殿下の方を振り向かれて〉。 (殿下)〈妃殿下の方を振り向かれて〉伝わってますか?。そうですね。公的な活動をするにせよ、それから家庭のことをするにせよ、無理し過ぎないように気遣いながら、だけれどもできるだけエンカレッジするようにしているつもりです。どうでしょうね〈妃殿下に振り向かれて〉。 (妃殿下)ありがとうございます〈殿下をご覧になってお笑いになりながら〉。 (2)妃殿下にお伺いします。妃殿下が絵本の出版に寄せられた思いをお聞かせください。 (妃殿下)昨年の夏に、世界の様々な動物の行動や生態を分かりやすく解説したコラムが加わりながら物語が展開していく新しい形の本に出会い、興味深く読ませていただきました。この動物の本のシリーズは8冊ございまして、その翻訳の依頼に、翻訳することになると費やすことのできる時間が限られておりますし、また翻訳をすること、その務めを果たせるかどうか心配で、随分迷いました。そういう気持ちを宮様にもお話し申し上げましたところ、本の仕事にちゅうちょする私の背中をそっと押してくださいました。今の生活のリズムを保ちながら、日本の子どもたちにいろいろな地域の動物をわかりやすく語りかける良い機会になればと思い、お引き受けいたしました。 初めての翻訳には大きな不安もございましたが、動物学や児童文学のご専門の方々から貴重なご助言をいただき、また編集・デザイン・印刷など、本作りにはたくさんの方々が携わっていらっしゃいますけれども、多方面にわたる方々の協力を得ながら始めの2冊の本を出版することができました。出版する過程でご尽力いただきました関係の皆さまに感謝しております。 この絵本を通して、子どもたちがさまざまな動物やその周囲の自然環境に関心を抱き、理解を一層深める機会になれば大変うれしゅうございます。 これからも公的な仕事と家庭の務めを大切にしつつ、続きのシリーズの本作りにかかわっていくことができればと願っております。さらに広く、世界の子どもたち、子ども一人一人のいのち、母子の健康などにも思いを寄せながら、世界の動物の子どもたちを扱ったこのシリーズの日本語版作成に携わってまいりたいと思います。 (3)妃殿下にお伺いします。公務と家庭を両立するための工夫をお聞かせください。 (妃殿下)結婚してから今まで、家族の理解と協力を得ながら公的な仕事と家庭の務めをできる限り果たせるよう、努めてまいりました。公的な仕事も家庭の務めも一つ一つ丁寧にしようと思うと時間が足りなく、また十分に役割を果たしているだろうかと考え、不安になることもあり、気がついてみますと心の余裕がなくなっていることも度々ございました。そのような中で、現在、仕事と家庭とを悩みながらも頑張って両立されている方々と交流をしたり、困難な環境の中で仕事と家庭、あるいは子育てを立派にされてきた女性の方々のお話を伺うことを通して、私自身大きく強く励まされてきました。 身近なところでは、日々、宮様や娘たち、友人や知人など、心のこもった言葉や冷静な助言、協力またほかの周囲の方々にも支えられ、今まで公的な仕事と家庭の務めを続けることができましたことを感謝しております。 これからも、今後女性が家庭を持ちながら、子育てをしながら仕事ができるような、あるいは出産、育児で一時仕事を中断された方が復職できるような、そのような環境をもっと皆さんが理解いただけるように、また必要な支援が広がり、よりよい環境が整っていきますことを願っております。私も、今なすべきことを見極めつつ、公的な仕事と家庭の務めとの良いバランスを保てるように努めてまいりたいと思います。 (4)両殿下にお伺いします。夫婦円満の秘訣などがございましたらお聞かせください。 (殿下)円満に見えるということでしょうかね。私と家内は基本的に全く別の人間なわけですね、これは当然ですけれども。ということは、考えることも、同じ場合もあるけれども違うことも結構あると思います。ですから私は、できるだけ両方ともですけれども、思っていることとか、意見を伝えるようにしています。私から家内にもありますし、家内から私にもあります。それによって両方の一致した意見でまとまることもあれば、口論になることもあるわけですね。でもそういう思っていることをきちんと伝えるということで、より理解が深まるのではないかなと感じております。 (妃殿下)私も夫婦円満の秘訣について、普段あまり考えたことがございませんので大変困っております。今、宮様が話されましたことで、お互いの意見、気持ちを伝え合うというのは、私も非常に大事だと思っておりまして、生活の中で話し合うことで理解を深めていることについて、少しお話しをさせていただきたいと思います。 今年も都内や地方で行われた行事に出席したり、また視察などございましたが、宮様とご一緒したものもいろいろとございます。また宮様が総裁をしておられる日本動物園水族館協会、また山階鳥類研究所などの団体の行事、また私の場合には結核予防会の行事など、別々の仕事をしているものもいろいろとございます。どのように忙しくても一緒に経験した仕事について話し合ったり、またそれぞれに仕事を終えた後、その仕事のことについて伝え合ったり、また日常生活の小さな出来事を語り合うことを大切にしてまいりました。 ここ数年は、宮様と一緒に、散策を努めてしております。「努めて」というのは、私たちはどうしても運動不足になりますため、歩くことで体力もつきますし、健康にも良いのではないかと思っております。ほかに散策をしながら、子どもたちの様子、宮様が大切に育てておられる植物のことや月次の和歌でしょうか〈殿下をいったん振り向かれて〉。毎月、詠んでおりますけれども、そういうことを話したりするなど、心和む一時を過ごしております。今は悠仁を乳母車に乗せて御用地内の砂利道などいろいろなところを歩いておりますが、ここ(赤坂御用地)の中は坂道やでこぼこ道もいろいろとありまして、かなり体力が必要なところもありますために、私よりも力がある宮様が代わりに押してくださったり、悠仁も散策の時間がうれしいようで、先ほど少し話しましたけれども、景色を見たり私たちの方を見て話しかけたり、笑顔を見せたりすることもあり、このような時間もとても充実していてありがたく思っております。 これからも、宮様が先ほどお話をされましたように、お互いの意見、それが同じようなときもあれば異なるときもあって、それをお互いのことを思いながら伝え合っていくこと、また娘たちも学校に行っておりまして、幸いいろいろな宿題を持ち帰ることもあり、それを見ておりますと、私ももう少し勉強という気持ちにもなり、宮様もそれをサポートして支えてくださるので、宮様がいろいろなことをお調べになったり、まとめたり調査をされたりするように、私自身も時間を見つけていろいろなことを学び考え、そういう学び合うことや、最後にはお互いを信頼しあう、そのような関係をこれからも大事にしてまいりたいと思います。 PR情報社会
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