2007.11.30 Friday
まとわりつく言葉を糧とせよ
写真は言葉を誘います。短い感嘆符であったり、長い感想であったり、真摯な批評であったりと、その時々様々な人の言葉を呼び起こすものです。とりわけ、作家として作品を発表するということは、世界に対して作品を投げ出す行為でもあります。自らの手を離れた作品は、外界で様々な言葉に出会うことになります。誹謗中傷の類いから、批評家、評論家による問題提起、賞賛の声・・・実に様々な言葉に出会ことになるでしょう。
その昔、僕がまだ若かった頃、写真月刊誌の見開き1ページにわたって「小林のりおは写真少年の成れの果てである」といった否定的な写真展評を、ある評論家の方から頂いたことがありました。正直なところ、良い気持ちはしませでしたが、名前をあげて論じてもらえたのだからまあーいいだろうと、その言葉を胸の内に収めて次作への糧としました。(今になって思えば、この「小林のりおは写真少年の成れの果てである」は、率直に僕自身を言い当てている名言だと思います) 言葉がまとわりつくことを可とする覚悟を持つこと。僕ら作家の作品は、全ての人に開かれてある存在なのですから、それは当然のことです。そして、その言葉に対して作家は最終的には、作品をもってして応えて行く他はないということです。 とりわけ、このネット上にはありとあらゆる言葉、映像が溢れています。クリフォード・ストールの言う「からっぽの洞窟」・・・カオスのゴミ箱とも言うべきネット世界は、「界隈」などといった趣味性を超えた、弱肉強食の戦場のような場でもあります。当然のごとく、そこにもある種の覚悟が必要とされるでしょう。 「インターネットは戦場である」 どこから銃弾が飛んでくるかわかりません。 その覚悟を持って、アップロードせよ。 まとわりつく言葉を糧とせよ。
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