発見された遺体は、祖母と二人の孫と確認された。昨日の警察の発表はあまりにも無惨な結末だった。
事件が発覚してから二週間近くがたった。二人の孫は五歳と三歳の姉妹だ。かわいい盛りの女の子がどこかに連れ去られ、ようとして行方が知れなかった。一刻も早く無事な姿を見たいと願っていたのにかなわなかった。激しい憤りを覚える。
容疑者は、殺された女性の義理の弟である。ベッドで寝ていた三人を刃物で刺したと供述している。遺体は梱包(こんぽう)して山中のがけに投げ落としたとしていたが、見つかったのは坂出港周辺の資材置き場からだ。土の中に埋められていた。
女性との間では金銭トラブルがあったとされる。「恨んでいた」とも供述し、騒がれたから子どもの命まで奪ったという。詳しい犯行状況の解明は今後の捜査を待たなければならないが、身内なのに、殺害を思いとどまらなかった現実がやりきれない。
社会が殺伐とし、特に少年の相次ぐ凶悪事件に衝撃を受けてきた。原因を分析し、犯罪のない社会の実現に向け懸命の取り組みが続くが、三人を殺した容疑者は六十一歳である。分別があり、人生の円熟期を迎える年齢と考えられているだけに、起きた事件に立ちすくむ。
どうすれば理不尽な犯罪を防ぐことができるのか。答えを見つけなければならないが、背負った課題は重すぎる。